2019年11月3日日曜日

8年という時の中で

私がお店をやりたいと真剣に考え始めたのは35歳の時でした。

それから3年後の38歳になる年に実際に独立をしますが、

シンプルに、その年の私の目線で見て、ずっと付き合えそうだと

感じる洋服を取り扱いたいと思って始めました。

いい年ですから、ある程度目も肥えているし、

必然とそれなりのお値段のモノばかりになるのは仕方ない。

案の定、、とにかく売れない日々を送ることになりました。

いつお店がなくなってもおかしくないくらい売れない日々を過ごす中、

オープン当初から扱い続けている「ゴーシュ」というブランドの

お洋服の販売を通して、勇気づけられたことを覚えています。

「この前買った、あのシャツ、なんて言ったっけ?」

「なんかカタカナのブランド、ゴーシュ?だっけ?」

そう、ブランドなんか何も知らない方たちが

「着心地がとてもよかった」というシンプルな理由で

2万円するシャツをもう一つ買いに来てくださる。

もう、嬉しくて嬉しくて。

あれから8年が経ちましたが、我々もゴーシュも変わりなく、

彼らが作ったいいものを全力でお勧めしています。





















ゴーシュ
cotton×yak ニットカーディガン
¥30,000+tax

ご夫婦でブランドを展開する彼らは、夫婦ともに

もとトップメゾンのパターンナーという異色のブランドです。

年間300日はパターンをひき続けるというだけあって、

カジュアルブランドではあまり聞きませんが、

ニット商品も自身でパターンを作成して形成しています。

なかなか付き合ってくれるパートナー(ニットメーカー)が少ないと、

いつも嘆いていますが、細々といいものを作り続けています。















コットンが80%、ヤクという獣毛が20%の混紡糸は、

しっとりと程よい温かさを持つ心地いいニット素材です。















正面でピタッと置いてみると、なんだかヤッケのような

形をしています。















切り替えた上の部分が衿のようなヨークのような

存在になるお洋服です。















ニットの端をリンキングなどせず、ボタンもないデザインですので、

裾に向かってクルクルっと癖がつく。

それもまたデザインです。















減らし編みを駆使して理想的なカーブを描く。

ニットは生産背景を考えると、最も「らしさ」が

出しにくい分野だと思われますが、ゴーシュのそれには

とてもらしさを感じます。





















ふんわりパンツ×ブラウス×羽織。

今まさにちょうどいいスタイリングです。















このカーディガンは肩線がなく、どのあたりで

着るかはその都度、もしくは好みで着ていただける

設計になっています。

このスタイリングでは、後ろにぬき気味で着ています。

横から見るとわかりやすい。





















こんな具合です。

ボレロのように着ています。

妻はこの位置で着るのが好みみたいです。















しばらくはこれに巻物でもしていたらちょうどいいかもしれません。





















ダークネイビーはワンピースに。

















上が抜いた感じ。

下は肩に乗せた感じ。

深く着ると衿周りがストールを垂らしているような

雰囲気に感じられます。
















後ろから見るとさらに違いがはっきりします。

どちらも着心地は良いそうです。

純粋に好みやその時の合わせで変えてください。















ダークネイビーはゴーシュならではの鉄紺と言ったらいいでしょうか、

すごくブラックに近いネイビーで素敵です。

インナー長袖、シャツ生地くらいのワンピースやシャツブラウス、

その上からこんな羽織がちょうどいい。

本格的な紡毛の手前で着るようなものをきっと皆さんお持ちでない。





















アナベルも8年目、ゴーシュはもう20年以上になる。

sns を始めてみてわかったこともある。

いとも簡単に様々な情報が手に入る。

でもきっとそれでも知らない人はまだまだいるでしょう。

これからもオープン当初のあの気持ちで販売したい。


ゴーシュというブランド名は、「左利きの、不器用な」という意味を持つ。

その名の通り、いい洋服を作ることに実直で誠実な彼らの

ものつくりのスタンスは一向に変わらない。

ホームページを持つわけでもなく、snsもやったことがない。

日々、手を動かしてより良いパターンやデザインを模索する。

それだけが生き残るすべであることを十分に理解しているのだと思うのです。

8年経って、つくづくそう思うと同時により魅力を感じます。