2018年9月30日日曜日

ファッションと道具の狭間

「ちょっとした式典に出席できるような普段着ありますか?」


年間通して、最も聞かれる具体的な質問です。

それもあって、毎年2月に「式典フェア」を行うこととした。

それはそれでまだ先として、そんな装いに似合う、

そして、もちろん普段使いできるバッグはないか?

そんなことを考えていたら、絶妙なタイミングで

Teha'amana(テハマナ)の西本さんから連絡がきた。

「新作ができたから見てほしい」とのこと。

それは、まさにそんな感じでした。





















Teha'amana(テハマナ)

ミニ巾着トートバッグ ¥18,000+tax

シボの入った牛革は、オイルが入り込んだ

とても柔らかい革。

新品の段階から柔らかく、しっとりとした触り心地です。





















カラー展開は、グレーとブラック。

キャメルというお色もございますが、

アナベルではセレクトしておりません。





















別色のパーツは、

ブラック × ナチュラル

グレー × ブラック





















横幅は、ステッチからステッチで計測して16cm。

高さは、底面から一番上まで計測して20cm。

パッと見の印象は、そのままですが、、

「小さい」「コロンとしてる」「物は入るのか?」

可愛い反面、モノが入らないと、、という心配も。





















ですが、このカバンの一番の特徴は、

コロンとしているその形状です。

ということは、マチが大きいのです。

















内側は布張りで、内ポケットもある。

そして、ヨコに開くと思った以上に広がります。

収納力は?

カバンを道具としてとらえ、使い勝手を重要視する

テハマナの西本さんが作るカバンは、

そういった側面ではぬかりなし。

















これだけ入れてもまだ少しゆとりあり。

・長財布(横幅19cmの一般的な長財布)
・カードケース(名刺入れサイズ)
・ペットボトル(短いやつ)
・ハンカチ(ハンドタオル)
・ポケットティッシュ(駅前で配ってるやつ)
・鍵の束(鍵が6個とキーホルダー2個)
・携帯(スマホ)
※内ポケットにタテに入れると少し頭が出る感じです。


以上を入れたのが写真の状態です。

















このようにスナップ釦で閉まります。

防犯上も嬉しいところ。

















パンパンでちゃんと閉まらないのでは?

そんなことはございません。

ゆとりを持って、しっかり、コロンと収まります。





























































































































上記でご紹介したモノたちを入れて持って、

このコロンとした形状が変わることもありませんでした。

そして、Teha'amana の良いところは、

内布の修理もしてくれるところ。

内布だけ破れてしまう事、ありますよね。

僕の使っている一番大きなショルダーの

布張り交換が8000円くらい。


お手入れしつつ、普段使いから

ちょっとしたお出かけ使用まで。

ファッションと道具の狭間が得意な

テハマナのかばん。

sono と並んでたくさん使いそうです。






通常営業中
















都内や川崎周辺は、台風の影響もなさそうです。

本日も通常営業しております。

今のところ、快晴ですよ。


annabelle





2018年9月29日土曜日

大人のおさがり

高校生の頃、「キレカジ」というのがあった。

当時、リーヴァイスの501やコーデュロイの517を

REDWINGのエンジニアブーツや、リングブーツで

履くのが流行っていた。

トップスは、お金のあるやつはVANSONのシングルライダース。

ハードな奴は、Schottのダブルのライダース。

どちらでもない僕は、古着のヘンテコなブルゾンを着ていたが、

そのうち気分が柔らかくなったのか、渋谷界隈でジーンズスタイルに

くつはそのままハードな感じで、ネクタイを締めるのが流行り始めた。

トップスはレザーから一転、みんなが一斉に、

リーヴァイスのサードモデルを着始めた。

そしてその時の僕は、サードモデル(もちろん復刻)の上に、

父親のお古のツイードジャケット(もちろんただ)を着ていた。


先日、朝の情報番組で若い女性が父親のおさがりを着て

喜んでいるのをちらっと見て、ついそんなことを思い出した。

30年経っても似たようなことが起こるのだから、

もう30年経っても同じことが起こるのかしら?

この洋服もそのように継承されたら嬉しいな。





















susuri

ピーテルワンピース ¥47,000+tax

















susuriさんらしい、「渋い」素材感。

















ウールとリネンで複雑に織り上げた素材は、

布地全体に凹凸感が生まれ、ざっくりとした

ツイードのようなタッチを連想するが、

触ってみるとリネンのドライな感触がしっかりと残り、

さらりと軽いタッチです。
















ネックはヒモで絞って小さくしたり、

広くしたり形状を変えることができるデザイン。

肩のあたりを切り替えて、クラシカルな印象に。

別布は、silk ×cottonで高級感が生まれます。

















ラグランスリーブでふくらみのあるたっぷりとした袖。

袖口はシルクコットンで切り返し、キュッとゴムが入る。

昔の女性用の労働着をドレスアップできるような

デザインに落とし込んだ、susuri らしい素敵なワンピース。


我が家も妻から娘にわたる洋服が出るのでしょうか?

早くも娘の友人に身長を抜かれた妻に着てもらいます。





















たっぷりとしながらも美しい。

そして軽い。

袖のデザインも手伝って、可愛らしさも感じます。















フラットな革靴でも、ヒールを履いても良い感じ。

小物使いが楽しめそうなワンピース。















ラグランスリーブの可愛くも迫力のある袖。

上着はラグランやドロップショルダー気味のデザインが

相性良さそうです。

インナーにタートルを着たり、巻物したり。

上にコートを着て、出てくる裾も可愛らしそう。





















長い目で見ると、洋服にとっての布地とは、

命そのものの様に感じます。

父の時代のハリスツイードは、ズシリと重いが一生もの。

アナベルで販売する洋服たちも、世代を超えて愛されてほしい。



<明日の営業時間について>

大型の台風が接近していますので、

状況によって、営業時間を変更いたします。

こちらのブログとInstagramでお知らせいたしますので、

ご来店の際はそちらをご覧いただくか、お電話をお願いいたします。

お手数ですが、よろしくお願いいたします。




2018年9月25日火曜日

葛藤が生む素敵

最近、店番の妻も電話に出ることがある。

以前は、出なくていいと言ってあったのだが、

変に負けず嫌いな妻は、

「それでは留守番を果たせていない」と言いはじめ、

週に一回の店番のために、小声で電話対応の練習をし始めた。

先週、事務仕事を終えて店に戻ると、いかにも怪訝そうな

表情で、妻がこちらを見ている。

「電話がきたんだけど、、」

「どちらかの、、誰かさん??」

・・・・

・・・・

「いや、あまりにも声が小さくてね。」

「何回か聞きなおしたんだけど、またかけるって。」

「お世話になってますって、言ってたからお客様ではないよ。」

「サイト―って言ってたような気がするような、しないような。。」

声が小さくて、サイト―さん、、

「susuri の斎藤さんだね。」

「そうそうそう!」、「言ってくれればいいのにね。」

「いや、言ってたんだろ、聞こえなかっただけで。」

囁くようにお話をする、やわらかい印象の斎藤さんが作る

susuri のお洋服は、その人柄からは想像できないほどに頑固で、

ゆるぎない世界を持っている。

しかし、細やかなディテールや数ミリを気に掛ける

バランス感覚は、やはり人柄と被るのだろうか。





















susuri

ジャニターブラウス ¥33,000+tax
















ハンドシルクスクリーンで3色を使用した、

贅沢なオリジナルプリントは、今シーズンのテーマ、

「Light a candle」を象徴する代表的なプリントです。





















ネック、フロント釦、袖口、袖口釦が

ベルベットで切り替えになっています。

柄で見えづらいのですが、前身のバストラインも

切り替えてシルエットを広げています。





















ふくらみと丸みのある特徴的な袖は、

切り替えのギャザーで奇麗に収まります。
















ネック周りには、背面まで一周にわたり

細やかなギャザーが刻まれる。。だけでなく、

これまた見えづらいのですが、ギャザーから1cmほどの

あたりをミシンでたたいて処理しています。

これにより、ふんわり広がりすぎず、

齋藤さんの思う、絶妙なギャザー加減が実現しています。

確かに、、かっこいいが勝るような、鋭いデザインです。





















袖も切り替えています。

しかも丸く斜めに。

素敵なクラシック。

齋藤さんの電話がどうしても聞き取れなかった妻に着てもらいます。





















今シーズンも特注した、

susuri マーチスカートに合わせて。















着丈がすっきりとして、スカートにも合わせやすい。















細やかな特徴的デザインが盛り込まれつつ、

全体にはシンプルにまとまっています。


こんなに、細やかなデザインを駆使した

ブラウスを作る一方で、オーセンティックを

超える王道的なセーターをデザインする。





















susuri

ポエータハイネックセーター

¥28,000+tax





















このようなシンプルなハイゲージニットの

代表と言えば、洋服屋ならほとんどの人が同じブランドを

頭に浮かべることでしょう。

「JOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)」

英国発の世界的ニットメーカーで、300年以上の歴史を持つ。





















susuri さんが作ったこのセーターが、

いかに良いモノであっても、WOOLのハイゲージ

であれば、どうしてもそこと比較されてしまう。

が、しかし、触ってすぐにその類ではないことがわかる。

セーターではあまり触ったことのない感触。





















収まりのいい長めのリブデザインも

クラシカルで素敵です。

そして、この素材の正体は、なんと「Silk」です。

Silk 95%、Nylon 4%、Polyurethane 1%


一見、ジョンスメドレーと比較して、

WOOLならいかに良くとも、値段が通らないと思いきや、

これは、着てみたらわかるはず。

オーセンティック以上の感触です。





















シルクの特徴を考えると、これ以上ない、

ベストなデザインだと感動します。

熱の伝導率が低いシルク素材は、

夏は涼しく、冬は暖かい。

そして、毛ではないから毛玉にもならず、

静電気を起こしづらい性質があるため、

冬のセーターとして、とても有難い。















今は一枚で着てちょうど良い日も多いはず。















スカートにタックイン。















ゴーシュのカツラギワイドパンツにシンプルに。

こちらの色は、どう見てもチャコールグレーに見えるのですが、

ダークネイビーという表記です。糸の色がダークネイビーと

いうことでしょう。





















いつの時代も古びない、

オーセンティックなカジュアルスタイルです。















ちょっと肌寒い日は一重のコートを引っ掛けて。

近年のsusuri 齋藤さんのデザインは、

幅広い様々な感性が、とても堅い一枚岩の様に合わさり、

その迫力を増しているように感じます。





















今シーズンのテーマ、「Light a Candle」は

ロシアの映画監督、アンドレイ・タルコフスキーの傑作

「ノスタルジア」からインスピレーションを受けているという。

偏りのある世界観を投影させ、「映像の詩人」とまで称された

タルコフスキーが、亡命した先で待ち受けていた「大衆性」の

ある映画作りに悩まされ、一度は捨てた母国への郷愁。

映画「ノスタルジア」の主人公は、監督そのものだと言われています。

自由でニッチなデザインか、

大衆的で売れるデザインか。

デザイナー斎藤さんは、そんな自らの立場を投影して、

一本のろうそくの灯がともし続けるように、

慎重に、大胆に、今回のコレクションを作り上げたことでしょう。

本当にこの先が楽しみなブランドです。



2018年9月23日日曜日

暮らしとおしゃれの編集室


連載が更新されております。

ぜひご覧ください。

また、同編集部の「ナチュリラ秋号」には、

ありがたいことに、今回も6ページをいただいております。

今回もアクセサリー作家、vali(わり)の水野久美子さんが

モデルを務めてくださいました。

10月には、CLASKA Do たまプラーザ店で、繕いの

ワークショップをされるようですよ。
















絶賛発売中、、ですが、近所の本屋さんは完売してました。

ぜひ、合わせてご覧ください。


annabelle