2018年9月25日火曜日

葛藤が生む素敵

最近、店番の妻も電話に出ることがある。

以前は、出なくていいと言ってあったのだが、

変に負けず嫌いな妻は、

「それでは留守番を果たせていない」と言いはじめ、

週に一回の店番のために、小声で電話対応の練習をし始めた。

先週、事務仕事を終えて店に戻ると、いかにも怪訝そうな

表情で、妻がこちらを見ている。

「電話がきたんだけど、、」

「どちらかの、、誰かさん??」

・・・・

・・・・

「いや、あまりにも声が小さくてね。」

「何回か聞きなおしたんだけど、またかけるって。」

「お世話になってますって、言ってたからお客様ではないよ。」

「サイト―って言ってたような気がするような、しないような。。」

声が小さくて、サイト―さん、、

「susuri の斎藤さんだね。」

「そうそうそう!」、「言ってくれればいいのにね。」

「いや、言ってたんだろ、聞こえなかっただけで。」

囁くようにお話をする、やわらかい印象の斎藤さんが作る

susuri のお洋服は、その人柄からは想像できないほどに頑固で、

ゆるぎない世界を持っている。

しかし、細やかなディテールや数ミリを気に掛ける

バランス感覚は、やはり人柄と被るのだろうか。





















susuri

ジャニターブラウス ¥33,000+tax
















ハンドシルクスクリーンで3色を使用した、

贅沢なオリジナルプリントは、今シーズンのテーマ、

「Light a candle」を象徴する代表的なプリントです。





















ネック、フロント釦、袖口、袖口釦が

ベルベットで切り替えになっています。

柄で見えづらいのですが、前身のバストラインも

切り替えてシルエットを広げています。





















ふくらみと丸みのある特徴的な袖は、

切り替えのギャザーで奇麗に収まります。
















ネック周りには、背面まで一周にわたり

細やかなギャザーが刻まれる。。だけでなく、

これまた見えづらいのですが、ギャザーから1cmほどの

あたりをミシンでたたいて処理しています。

これにより、ふんわり広がりすぎず、

齋藤さんの思う、絶妙なギャザー加減が実現しています。

確かに、、かっこいいが勝るような、鋭いデザインです。





















袖も切り替えています。

しかも丸く斜めに。

素敵なクラシック。

齋藤さんの電話がどうしても聞き取れなかった妻に着てもらいます。





















今シーズンも特注した、

susuri マーチスカートに合わせて。















着丈がすっきりとして、スカートにも合わせやすい。















細やかな特徴的デザインが盛り込まれつつ、

全体にはシンプルにまとまっています。


こんなに、細やかなデザインを駆使した

ブラウスを作る一方で、オーセンティックを

超える王道的なセーターをデザインする。





















susuri

ポエータハイネックセーター

¥28,000+tax





















このようなシンプルなハイゲージニットの

代表と言えば、洋服屋ならほとんどの人が同じブランドを

頭に浮かべることでしょう。

「JOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)」

英国発の世界的ニットメーカーで、300年以上の歴史を持つ。





















susuri さんが作ったこのセーターが、

いかに良いモノであっても、WOOLのハイゲージ

であれば、どうしてもそこと比較されてしまう。

が、しかし、触ってすぐにその類ではないことがわかる。

セーターではあまり触ったことのない感触。





















収まりのいい長めのリブデザインも

クラシカルで素敵です。

そして、この素材の正体は、なんと「Silk」です。

Silk 95%、Nylon 4%、Polyurethane 1%


一見、ジョンスメドレーと比較して、

WOOLならいかに良くとも、値段が通らないと思いきや、

これは、着てみたらわかるはず。

オーセンティック以上の感触です。





















シルクの特徴を考えると、これ以上ない、

ベストなデザインだと感動します。

熱の伝導率が低いシルク素材は、

夏は涼しく、冬は暖かい。

そして、毛ではないから毛玉にもならず、

静電気を起こしづらい性質があるため、

冬のセーターとして、とても有難い。















今は一枚で着てちょうど良い日も多いはず。















スカートにタックイン。















ゴーシュのカツラギワイドパンツにシンプルに。

こちらの色は、どう見てもチャコールグレーに見えるのですが、

ダークネイビーという表記です。糸の色がダークネイビーと

いうことでしょう。





















いつの時代も古びない、

オーセンティックなカジュアルスタイルです。















ちょっと肌寒い日は一重のコートを引っ掛けて。

近年のsusuri 齋藤さんのデザインは、

幅広い様々な感性が、とても堅い一枚岩の様に合わさり、

その迫力を増しているように感じます。





















今シーズンのテーマ、「Light a Candle」は

ロシアの映画監督、アンドレイ・タルコフスキーの傑作

「ノスタルジア」からインスピレーションを受けているという。

偏りのある世界観を投影させ、「映像の詩人」とまで称された

タルコフスキーが、亡命した先で待ち受けていた「大衆性」の

ある映画作りに悩まされ、一度は捨てた母国への郷愁。

映画「ノスタルジア」の主人公は、監督そのものだと言われています。

自由でニッチなデザインか、

大衆的で売れるデザインか。

デザイナー斎藤さんは、そんな自らの立場を投影して、

一本のろうそくの灯がともし続けるように、

慎重に、大胆に、今回のコレクションを作り上げたことでしょう。

本当にこの先が楽しみなブランドです。



2018年9月23日日曜日

暮らしとおしゃれの編集室


連載が更新されております。

ぜひご覧ください。

また、同編集部の「ナチュリラ秋号」には、

ありがたいことに、今回も6ページをいただいております。

今回もアクセサリー作家、vali(わり)の水野久美子さんが

モデルを務めてくださいました。

10月には、CLASKA Do たまプラーザ店で、繕いの

ワークショップをされるようですよ。
















絶賛発売中、、ですが、近所の本屋さんは完売してました。

ぜひ、合わせてご覧ください。


annabelle















2018年9月22日土曜日

いつも通りの安心感

引き出しを開けて、つい手に取ってしまう

シャツやブラウスが数枚でもあると頼もしい。

長袖のシャツブラウスは、年間で考えると

本当に登場回数が多いのでなおさら。

インナー何を着るか、といった変化も踏まえると、

一年の半分近く袖を通すものもあるでしょう。





















NO CONTROL AIR

8分袖丸首シャツ

テンセル×コットンの素材は、

ふくらみと、とろみのある彼ららしい素材感。

そして、手首が隠れるのが苦手、、、という

少しかわった癖をお持ちのデザイナーならではの

年間定番8分袖。

少し不可解なものも、ひたすら続けることで、

理解されるということを実戦で証明しています。















ゴーシュのカツラギワイドパンツに白。

着丈がコンパクトで、あらゆるボトムスに合わせやすい。

だからつい、手がのびるのかもしれませんね。















前後差は多少あるものの、それをあまり感じさせない

ゆるいラウンドテール。















背面もセンターで剥いだデザインで特徴的。

肩は上部だけ折伏せステッチを見せた仕様に。

シャツブラウスというよりも、

ここだけ見るとジャケットのようで面白い。

袖の付く角度鋭角で、まさしくジャケットです。





















グレイッシュブルー

ソックスにチラッと柄を見せてシルエットで遊ぶ。















同ブランドの素敵なワイドパンツに良く似合う。

ダークネイビー×ライトブルー

同系色で艶感を意識したスタイリング。















全身からあふれるドレープ感で、

シンプルながら迫力を感じ得る。





















ブラウンは、赤茶で光沢感もあるし、

色あせた雰囲気を上品に出す、「フィブリル加工」が

施されていることもあり、とても垢抜けた印象に。















ボトムスは股上のかなり下がったバルーンパンツ。

evam eva ということもあり、履いてみると意外にすっきりです。















パンツスタイルなら、きっとなんでも似合う。





















ボリュームのあるキュロットタイプにも

裾を出して着て、バランス良し。

スカートもロング丈ならいい感じ。





















そして、いつも一緒に販売される、ちび襟シャツ。

ボディサイズは同じで、違いは襟があるかどうか。















こちらは、evam eva のシルクのパンツに

合わせて、少しきっちり感のあるスタイリング。















爽やかな色合いに、足元で秋らしさを。















白はモノトーンでスタイリング。

ストーンとしたストレートワイドパンツにも

合わせやすい丈感が魅力です。















長袖シャツ一枚で出ることが多くなる今の季節、

ワードローブにあると出番が増えそうなシャツ。





















ネイビーは、evam eva の少しポカーンとした

先ほどと同じバルーンパンツに合わせて革のスリップオン。















この上にカーディガンを重ねたり、

ジャケットを重ねたり。

セーターを着てもいいし、

ベストも合わせてみたい。

重ね着のベースになるお気に入りのシャツがあると、

秋から冬までの中途半端な季節もちゃんと楽しめます。















とはいえまだ冬の重ね着は暑いから、、

私自身、上に着るのは春に買ったコートが多いかもしれない。

定番カラーの春のコートは、こんな季節にも活躍する。

そんな時重要なのはソックスだったりする。

秋っぽい柄や色合いのソックスを投入したい。















GASA の大胆なレース使いのスカートにタックイン。















シンプルながら、ちょうどいい癖のあるデザイン。

「シンプルは好き。当たり前はきらい。」

洋服好きが口をそろえて言う、この言葉は、

最もデザイナーの頭を悩ませるところでもあることでしょう。

一枚でさらっと着て、頑張らなくても特徴がでる

こういったシャツは、それに値するデザインなのではなかろうか。

そして、様々な装いにそれなりに寄り添ってくれるのも嬉しいところ。


アナベルではもう4年間販売しているデザインのシャツ。

素材や色によって雰囲気が変わり、飽きさせない。

変わらないのは、着た時のいつも通りの安心感。




2018年9月18日火曜日

古物のような佇まい

古いものがもつ一種独特の佇まいが好きで、

気がつくと身の回りにそんなものばかり集まってくる。

古ければいいというものではなく、一定の基準はある。

じーっと、何度か目に入れてみて、やっぱり好きだなって

思えるかどうか、、というざっくりとした基準。

骨董市などに行ってもそう。

気になったものを頭に入れて回り、何度か目に入れて、

それでも気になるものだけを買う。

1~2時間プラプラしているうちにどうでもよくなるものもある。

洋服の展示会で、柄物を選ぶときも似たようなことをする。















maison de soil

Inndia cotton Hand blockprint

インドのハンドブロックプリントは、

大きなスタンプのようなもので、人が生地にプリントしていく。

そのため、少し重なってにじんだり、柄がずれたりする。

日本の手な染やエルメスが採用するヨーロッパの

ハンドシルクスクリーンでは絶対に許されないことだが、

インドのこれは、製法の違いもあるし、お国柄もある。

奇麗にビシッとしていない、この雰囲気が魅力です。

もちろん職人によって技術の差はあって、

ズレない人もいるのかもしれないが。





















ソフトな薄手のコットン素材にプリントを

施し、なおかつ天然のインディゴ染めをしています。

素材の表情にも奥行きがあり、愛着の湧く柄物です。





















インディゴのオーバーダイですから、

色落ちや色あせはしていきます。

単独の手洗いでお願いします。















遠目に見て、鮮やかさを感じるインディゴブルー。

冬のざっくりセーターなどを着るのが楽しみな雰囲気です。

また、今回のスカートには、ポケットがございません。
















表生地は薄手のコットンです。

裏地には秋冬用の裏地が付きますが、

秋、冬、春と長く着用していただけるスカートです。

天然染色のデメリットも、味わいと思えるものがある。

私の基準では、このスカートはそんな存在です。

人それぞれ、その許容は異なりますが、

古いものに魅力を感じる私は、その点において、

許容が大きいのかもしれません。


プリントがずれていたり、にじんでいたり、

色落ちや変色が付きまとうこのようなスカートは、

古物が好きな人とは好相性かもしれませんよ。






2018年9月17日月曜日

計算された美しさ

力のあるものからは、作り手の意図や思い、

大げさかもしれないが、魂のようなものを感じることができる。

たくさん見ているジャンルでないと、自分の目利きが

及ばないので、僕はおおむね洋服でしか感じきれないが、

形あるものはみんなそうなのだろう。

言葉が通じなくても、彼女の作る洋服には、

たくさんのソウルを感じることができる。





















kadhi and co.(カディーアンドコー)

デンマーク出身のベス・ニールセンは、1978年に

インドにわたり、様々な伝統的手工芸を目にし、

感銘を受ける。

アートやデザインを学んでいた彼女は、その中でも、

とりわけインドのカディーコットンに惚れ込み、

世界中にその素晴らしさを発信することがライフワークとなる。

2004年にブランドをスタートして以来、彼女の審美眼に

かなった、最上質のカディーを用い、ストールを中心に

日本でも紹介されてきたが、洋服もさすがに素晴らしい。





















細番手のライトカディーコットンは、

ふんわりとして、心地いい。

水を通すことで、風合いはより良くなるのも、

上質なカディーの良いところ。





















着た時の美しいドレープ感は、この丁寧な

タックによって生み出される。
















背面に見られる丁寧なラジャスタンタックは、

見ているだけでも心地いい。

その分量感やピッチも計算されたものであることは、

着た時の美しさが証明してくれる。





















袖口も切り替えて、丁寧な仕上がりなのだが、

それ以上に、袖付けがいい感じ。

ゆったりしたデザインで、ふんわりした素材であれば、

真っすぐな筒袖を付けるのが一般的かもしれないが、

この洋服は違う。

肘の膨らんだ、立体的な袖が後付けで施されている。

ジャケットのような袖付けだ。

それゆえ、カディーを使ったインド生産のお洋服に

感じられる、少し土着的、民族的な雰囲気がない。















上質なカディを用いた、洗練されたデザインの

ブラウスからは、彼女の意図や思いを感じることができる。















良い素材を贅沢に使い、着心地を考慮した

上質な仕立てのブラウスは、シンプルではあるが、

他の既製服にはない、デザイナー、ベス・ニールセン

ならではの匂いがある。





















ネックから流れるタックドレープにより、

上から何かを羽織っているかの様にも見える。















袖は長めだが、腕の短い妻が着ても、

カッコ良く収まるデザインです。

ちなみに、そうとう長く作ってあるので、

これも意図的なもの。

素敵です。















少し前が短く、後ろが下がるデザインです。

標準体形で、バランスがとりやすい。



そしてこの、美しい後ろ姿。

いつもより首が長く、細く見える。

秋冬に登場したブラウスですが、

素材も色合いも、年間定番で着用していただけるもの。

そして、袖付けがすっきりしているため、

カーディガンなどの羽織物も合わせやすい。

手洗いで、末永く着ていただきたい贅沢な1着です。


¥29,000+tax