2019年10月31日木曜日

素敵すぎる赤色

今シーズンのsusuriの展示会で、個人的に最もひかれた

商品は、なんと赤一色展開でした。

一瞬、、「は??」と思うのも無理はないと思います。

そう思ったバイヤーはわたくしだけではないはずです。

デザインが素敵であればあるほど、色展開なども気になるところ。

しかしよく考えてみると、そんな素敵なワンピースを赤1色展開に

収めたデザイナー斎藤さんの潔さ、、すごいなって素直に思います。





















susuri
イライザドレス red
¥46,000+tax

しかも鮮烈な記憶を残す素晴らしい赤。

少し朱色がかった落ち着きと品のある素晴らしい赤。















しかもウェストやフロント、サイドステッチは

オフホワイトの配色ステッチに。


今シーズンのテーマ「egg」は映画、shape of water から

インスピレーションを受けてのもの。

映画の主人公であるイライザの名前をとったこちらの

ワンピースは、もちろん力の入った新作のはず。

この配色ステッチも、赤いワンピースをさらに個性的で

限定的なものにするためのお化粧のようなものなのか。















コットンウールでWOOLが10%入った高密度な生地は、

秋冬から春先まで着続けるのにちょうどいい生地感です。

上からは様々なものが難なく羽織れたり、またはセーターを

着てしまってもいいのでしょう。

もちろん、ワンピース一枚で着ていただくのは最高にかっこいい。















袖口にも配色ステッチが。





















背面が比翼仕立てでボタンになった被るタイプのデザインです。















ボタンを2つ取り外して着るのがちょうどいいみたい。





















スカート部分には裏地があり、どこかで見たような

ふくらみですね。。

そう、annabelleでずっと別注で作り続けていただいている

あのスカートに、少し似ています。

susuriのバルーンマーチスカート。















マーチスカートのような強いよじりは入れていませんが、

バルーンの構造で、ギャザーを入れてふくらみを出している点では、

着た時の印象は近いものを感じます。





















きれい目を意識した今シーズンのコレクションの

新作にして、とても彼ららしい佇まい。

またどこかでお披露目してほしいデザインです。















そして、さりげなく履いています。

susuri、フルッタ―パンツ。

ふんわりした中に感じさせるピリッとした印象。

擬音語が会話の中に飛び交う齊藤さんが表現するとなると、

そんな表現になるのでしょうか。





















当たり前ですが、「なぜ赤一色なのか?」

すぐに聞きました。


映画 shape of water は少し奇怪な恋愛映画。

1960年代のアメリカ冷戦時代を舞台にしたその映画で、

アマゾンに住む奇怪な生物が研究所に保管されており、

その研究所で働くイライザと、その生物と距離が少しずつ

縮まってくる。表情の明るくなるイライザは着るものにも

変化が表れてくる。

劇中で、その象徴的な色が赤なのです。

デザイナー斎藤さん自身の未来への変化を望む気分が、

イライザの着る赤と重なったのかもしれません。

「今後はわかりませんが、これは今回、赤だけで作りたかった。」

そのように申しておりました。

どうか素敵すぎる赤一色展開であることをお許しください。













2019年10月26日土曜日

面影に惹かれて。

民族的な衣装に見られる刺繍やハンドステッチ、

色使いや大胆なフォルムが大好きで、

ここ数年は、そういった写真や古着に目が留まり、

スタイリングの参考にすることも多いのです。

今シーズン、一目で気に入った羽織ワンピースも

その面影をたくさん感じられるものでした。





















maison de soil
ジャカードネルカシュクールワンピース
¥39,000+tax

ふんわりと起毛したネル素材に施されたジャカードだけでも

素敵なのですが、こちらのワンピースはそれだけではありません。















切り替えを多用した、まさに民族的な要素の多いデザインです。















衿の端はジグザグにハンドステッチが施されます。















ウェストの切り替えと小さなポケット口も

ハンドステッチがさりげなく飾ります。















均一性のなさも、ハンドステッチの魅力ですね。















背面もきれいな切り替えとハンドステッチが印象的です。





















色はネイビーとオフホワイトの2色展開です。















どちらも同系色のハンドステッチがさりげなくて素敵です。















ジャカード織の裏側はこのように。

民族調の柄が、このワンピースデザインにしっくりきます。

柄物のお取り扱いが極端に少ないアナベルでは希少かもしれません。

嫌いなわけではないのですが、以前にもお話した通り、

展示会場で長時間眺めたり、何度も目にしても飽きないものが仕入れの

最低条件にしています。そうすると、必然と少なくなってしまいます。















袖口にもハンドステッチが。

今シーズン、欲しいものがたくさんあって頭から少し

湯気が立っていた妻が買ったものの一つがこちらでした。





















ふんわりパンツのインディゴに合わせてネイビーを。

赤のソックスで色を効かせてスタイリングに締りを持たせています。















大きなスタンドカラーがやや下方向にネックに沿って

下りてくるような襟元は、すっきりとして

とてもオリエンタルな印象のデザインです。















ウェストラインで切り替えて、少しだけですが

ボトムスに膨らみを持たせています。





















少し立ち上がった後ろ衿もきれいなデザインです。















ウェストライン両サイドに施された小さなポケットは、

視覚的なアクセントにもなってかわいらしい。















ひもで結わくカシュクールデザインの良いところは、

羽織でも活躍してくれるところ。

実際に妻は羽織7割、ワンピース3割くらいのバランスで

サッと羽織って着ていることが多いみたい。















素材が起毛したネル素材ですので、通常のコットン素材の

ワンピースやブラウスの上から羽織るにはちょうどいい。

先日ご紹介したBLUE BLUE JAPANのインディゴのフランネルと

似たような特徴を持っていますね。















ワンピース on ワンピース。

巻物を加えたり、コートを重ねたりして楽しみたい。















オフホワイトはジーンズなんかと合わせて着ても

良さそうですね。















アジアの民族的要素のあるデザインは、

日本人にはなじみやすいと感じます。

着方や合わせで印象は変わってきますので、

着たことないけど興味のあるかたは、ぜひ店頭で。


<お知らせ>














本日、「暮らしとおしゃれの編集室」に連載が更新されます。

中途半端なこの季節、インナーウェアーを長袖に、素材にも変化を

持たせるような重ね着の提案をしています。

ぜひそちらもご覧いただけますと嬉しいです。








2019年10月25日金曜日

入荷のお知らせ


10月25日(金)
・blue in  green
 annabelle別注ふんわりパンツ(再入荷)

・FACTORY
 Annabelle別注 ヤクローブカーデ

・gasa*grue
 ”ル・アーブルの港” プルワンピース
 ”ル・アーブルの港”  タックカラーブラウス

・Lin Francais d'antan
 スプーンバングル
 スプーンリング

独特なバランスで

「羽織」という洋服のアイテムは、レディースの

ファッションにおいてとても重要であることは間違いない。

おそらくは作り手よりもバイヤー、バイヤーよりもお客様が

なんとなく毎シーズン、何かないかと期待を寄せている。

それが「羽織」というものだと思います。

一般的な洋服デザイナーの思考から少し逸脱した、

あの方が今シーズン「羽織」アイテムとして提案したのはこちらです。
















NO CONTROL AIR
羽織ジャケット ¥26,000+tax

ジャケットとは言っていますが、ジャケットの面影が残るのは

フロントデザインの上衿とラペルくらいで、着用時の独特なフォルムや

相性のいいお洋服の種類は、一般的なジャケットのそれとは

まったく異なるから面白い。















カルゼ織のような凹凸感のある綾織りのポリエステル生地は、

軽くてややドライタッチで、いい意味季節感がなく、

着る時期を限定しない汎用性を感じる素材感です。

そして裏の使用もメンズジャケットではまず見ない、

袖裏のみの仕様です。

とても合理的で柔軟な彼らしい仕様です。

一般的なジャケットにはこのデザインはあてはまらないという事でしょう。















フロントのデザインで最も注目すべきなのはこのポケット位置。

これもメンズでまじめにジャケットを作っている人からすると、

「こらこら」と突っ込みたくなるようなポケット位置ですが、

彼の答えは明快でした。

「なんか、、寸足らずな短いカーディガンみたいなジャケットにしたかった。」















袖口には機能性は全くない、デザイン的なアイコンになる

小さな刻みがございます。

わたくしが初めて彼の作る洋服を見た時にはもうあったので、

彼のデザインの特徴の一つとして印象深い。















こちらも同じくです。

背面を膨らませるためのダーツですが、

見せることでこちらも視覚的に印象を残しています。





















グレーッシュなブラックと

グレーッシュなネイビーの2色です。





















タートルを着た上に、コーデュロイのジャンパースカート、

その上から羽織るように着ています。















着丈が短く、スカートやワンピースにもすっきりと

着ていただけるジャケットのようなカーディガン。

ポケット位置が本当にいいバランスです。
















横から見るとこのお洋服の魅力が伝わりやすい。

肩線が少し後ろ気味なのはいつもの彼のデザインの特徴ですが、

ジャケットらしい上衿があることで、それがさらに強調される。















前を開けてみてもいい感じです。















このくらいのショールを羽織ってみれば、

少し寒くなってきても大丈夫。

今から真冬までと、素材感を生かして春もたくさん着てほしい。

きっと中途半端な季節にこそ活躍することでしょう。





















再入荷したふんわりパンツにもよく似合います。















サイズ感はたっぷりとして、袖裏も付いているので

少し地厚なセーターの上からも十分に着ていただける。
















締りのあるブラックか。

馴染みのいいネイビーか。

いずれもグレーッシュで使いやすいお色味です。

式典の装いにも似合いそうですよ。















COOVAさんのポシャギ風ショールを巻いてみれば、

たちまち、スタイリングに華が咲く。

後日ご紹介しますが、とても素晴らしいショールです。





















少し背面に抜ける、和装のようなジャケットのような

寸足らずなカーディガンは、彼ならではの絶妙なバランスの

上に成り立っているように感じます。

しかしながら素晴らしいなと感じるのは、他の個性的な

デザイナーのあらゆるお洋服に、スッと馴染むのです。

ちょっと個性的なのに、あらゆるお料理をのせたくなるお皿って

ありますよね。そういうお皿は出番が多い。

NO CONTROL AIRのこのお洋服に限らず、彼の作るお洋服は

一瞬とっつきにくい独特なバランスのお洋服が多いのですが、

使ってみるとそうでもないことに気が付くのです。

だからこんな調子で20年以上、続いているのだと思います。