2022年7月29日金曜日

汎用性と個性

お店には週に何通もの展示会の案内やブランドのご案内が届きます。

最近はメールで届くこともよくあります。そして絶対に僕は目を通します。

一目で気になることもあれば、5年間「どうしようか?」が続くこともある。

現在お取り扱いをしているASEEDONCLOUDがそうでした。おそらく5年以上

にわたり案内状を送り続けていただいて、こちらのタイミングで声を

掛けさせていただきました。今年の10月には、初めての展示も開催します。


その逆に、見た瞬間に「これは見に行こう」と思う展示会もあるのです。

「DELMONACO(デルモナコ)」の靴の展示会がそうでした。

ワンストラップのレザーシューズにたしか赤いばらの花が生けてある写真で、

気にかかったのはワンストラップのシューズが男性用しか作っていないと

いう点でした。(現在はレディースも作っています)

普通はレディースはあるが、男性用はないというアイテムです。

当時、すぐに気になって調べると、オーセンティックなイギリスのメンズパンプス

デザインもどうやら作っている。。これはますます気になる。

絶対にクセのあるオーナーが強いこだわりを持って作っているに違いない、

という期待を持って、すぐに展示会のアポイントを取りました。


今日はDELMONACOで再入荷をしているパンプスシューズのご紹介です。

たくさんの写真とともに、少しブランドについてもお話したいと思います。











DELMONACO レザーパンプスシューズ
¥44,000(税込)

初めて展示会に伺った際にはメンズしか存在しなかったこちらの靴を

まずは自分用にオーダーをして数ヶ月待って、じっくりと履いてみました。












スリップオンやローファータイプは昔から大好きで、さまざまな靴を

履いてきました。このタイプの靴で自分なりにポイントとして考えて

いたのは、「馴染んでゆるくなってきた時に、どういうパフォーマンスを

してくれるか?」でした。紐もベルトもない浅いパンプスタイプでは、

とても気になるポイントです。












数週間、たくさん履き続けて馴染んだ時、少し踵が浮く感覚が

ありながらも、窪みが踵を引っ掛けてうまい具合に抜けずに

綺麗に歩くことができる靴でした。

「これはいい」と思って、当時メンズしかなかったこの靴を

レディースで作っていただくことになったのです。












「レディースを作って欲しい」というリクエストに対し、作り手の花谷さんから

の返答は、「できる限りがんばります」という少し曖昧なお返事でした。

それから半年以上が経ち、僕も「作れなかったのかな?」と半ば諦めていたところ、

「お待たせしました」という連絡をいただいたのです。












話を聞くと、元々メンズのラスト(木型)しかなかったモデルで

レディースを作るとなると、数ヶ月で簡単にできるものではないと。。

その時初めて知りました。












マッケイ製法で作られたDELMONACOのシューズは、非常に軽く

足馴染みが良い、ソールの薄さもあってよくしなり、僕にとっては

最良のパンプスシューズとの出会いでした。もう3足色違い、素材違いで

持っています。当然、1週間の大半をこの靴で過ごしているわけです。












今回は、2色展開のうちブラックが久しぶりの再入荷となりました。

一部、すでに欠けてしまったサイズもございますが、ぜひこの機会に

ご検討ください。





















DELMONACOの花谷さんは、もともとは「ビスポーク」と呼ばれる

フルオーダーの背広を作る世界で働いていた靴職人でした。

つまり、フルオーダーで背広を作る人はシャツやネクタイも同時に

作り、そのスタイルに合わせて靴も作るのです。





















粛々と続く英国ビスポークの世界であらゆる個人オーダーをこなしていく

日々で、いつしか自身の感性を注ぎ込んだ靴を作りたいと思っても何ら

不思議ではありません。





















そんな思いが募って独立を決意した彼は、初めは馴染みのある

オーダースタイルで活動を始め、少しづつ量産へと移行したそうです。





















「オーダーを中心に靴作りを行ってきたことは、今どうのように生かされているか?」

そんな質問に対する答えは、「平均値を見つけるうまさが養えた」というものでした。

なるほど、靴にとってサイズ感覚は非常に重要で、お洋服ではデザインの自由度が

高く、ビッグシルエットからタイトシルエットまで幅広く存在しますが、靴は

そうはいきません。5ミリ刻みでサイズが設定された上に、同じ24cmでも

色々な24cmの方がいらっしゃる。ではどのくらいの24cmになるように

靴を作るか?ということを考えるのに、オーダーシューズで培った平均値は

とても役に立っているとのことでした。





















僕はスタイリングを作る際に、「ちょっとした普通ではないところ」を

作れるように努力しています。昔は雑誌などで「はずし」なんて言われて

いたテクニックなのかもしれません。





















つまり素直にスタイリングしたらこうかな?

の逆を発想する癖をつけています。





















その発想の癖でこの靴を見たときに、僕から見ると伝統的な

メンズパンプスをマッケイで作った素敵な靴なのですが、

元がメンズパンプスなだけに、そのままのデザインでレディースの

パンプスを作ったらきっと良い違和感を感じてくれるのでは?

そんな思惑がありました。





















そして出来上がったレディースパンプスは、想像以上に素敵で、

アナベルのあらゆるスタイルによく似合う。






























自分でも一年中履いていますし、

スタイリングにも一年中使用しています。





























しかしパンプスはフィッティングが難しいことも確かです。

万人に合うとは限りません。ただ、かなりの方にマッチするのでは

ないかとは思っています。






























妻はR.U.は全てサイズ37、ビルケンシュトックも37、日本のサイズ表記では

たいていの革靴が23.5cm、ナイキなどのスニーカーは24cmを履いていますが、

DELMONACOのこちらのパンプスは23cmでした。





















パンプスデザインですので、できる限り足の実寸に近いサイズで

履いてもらうような設計になっているそうで、通常の紐ぐつなどよりも

つま先の捨て寸(足が入らない部分)が小さいそうです。

つまり、足が結構前まできてしまっても良いように、つま先に

厚みを持たせたデザインになっているそうです。





















たしかに、新品の状態でかなり脇が張った感触がある一方で、

つま先は余裕がない中でも結構動かせる感覚がある印象です。

そして馴染むのが早い。





















前述の通り、少し大きめなサイズ感ですので、22.5cmからサイズ

展開はございますが、普段22.5cmの方に合うサイズがないというのが

現状です。サイズ選びは、普段の革靴よりハーフサイズ小さいものがお勧めです。





















こうしてみるとかなりたくさんのスタイリングに使っているのが

あらためてよくわかります。






























合わないスタイリングってあるのかな?

ないのかもしれません。





















そして先ほども申しましたが、ポイントは靴そのものにしっかりと

個性や存在感があることです。












靴によっては脇役に徹し、存在感のない、既視感のあるものも

多いかと思います。レディースのパンプスが並んでいるのを

靴屋さんで見たときに、最終的にどれも同じように見えてきてしまう

なんて経験はないでしょうか?












このパンプスは、そういった意味でも良いデザインです。

これだけ汎用性の高いデザインでありながらしっかりと個性は感じられる。

そして修理も可能で長く履いていただける。

アッパーの素材は若い牛革を用いたオイル分量の多いキップレザーを

使用しているため非常に足馴染みがいい。

ぜひこの機会に、お試しください。





























































2022年7月15日金曜日

夏のレイヤースタイル2





















FACTORY フレンチリネンジャンパースカート
重ね硫化染ネイビー ¥24,200(税込)


このジャンパースカートは少し前からチラチラ登場していますね。

気にかかっていた方もいらっしゃったかもしれません。

なぜなかなかご紹介に及ばなかったかというと、少し気にかかっていた点が

あったからです。展示会の際には気が付かなかったのですが、数回にわたり、

妻に撮影で着てもらって、「肩が落ちてくる」ことが気になりました。




















人それぞれ体型も違いますので、妻が落ちてくると言ってもそれが

商品としてどうか?という話にはなりませんが、アナベルのモデルとして

おそらくざっと2000種類程度の洋服を着てきた妻が言う以上、

気になって通信販売には至りませんでした。




















そんな気持ちをFACTORYの野村さんに率直に相談したところ、

もう一度こちらでも試着をして検討しますので戻してください、

という展開になりました。そしてなんと、修整していただけました。





















戻ってきたのがこちらです。

そうです。誰もが思ったことでしょう。

どこが違うの?

見た目には正直わかりません。




















近寄ってみますと、、

これが修正前。

V開きがスカート部分のゴムのところまで来ていますね。





















色は違いますが、こちらが修正後。

少しつまんで縫っています。

前側は3cm。





















後ろ側は7cm縫っています。

これによって、全く落ちてこないしすごく安定したそうです。

そんなことをやっておりましたので、ご紹介が今になりました。




















妻には「細く見える」と好評のジャンパースカート。

確かにスラッと見えますね。





















こちらが硫化染めライトグレー。





















スカート部分のボリュームが抑えられた、すっきりとした

デザインであることも特徴です。





















程よいボリューム感。




















下にはTシャツは勿論ですが、薄手のブラウスなんかも

悠々と着ていただけるようなサイジングです。





































完売したHAVERSACKのレーヨンシャツを合わせて。






































ウェストのゴム部分でしっかり留まっていますので、

サスペンダーを垂らすような感覚でこんな風に着ていただくのも

素敵だと思いますよ。





















このようにタックインをしてもいいし、シャツの裾は出してもいい。

これもまた、真夏のレイヤーが楽しめるお洋服です。

染色で少し張りの出たフレンチリネンのタッチもいい。

涼しく夏を過ごせるお洋服です。

インナーは両色ともに、特にペチなどは穿いていませんが、

透けはありません。それもこの染色の特徴です。


今回、FACTORYさんにはこのような対応をとっていただき、

大変感謝をしています。通常のメーカーではあり得ませんが、

それゆえに、バイイングは慎重に行います。

FACTORYさんは、自社で縫製工場を完備していますので、

もしかしたら何か対応してくれるかも、、という期待を持って

こちらも相談した次第です。

ご紹介が遅くなりましたが、素敵な夏服として、ぜひご検討ください。

また、題名を「夏のレイヤースタイル2」といたしましが、

「夏のレイヤースタイル1」は暮らしとおしゃれの編集室

Honneteのジャンパースカートをご紹介しています。

そちらも合わせてご覧ください。