2019年7月21日日曜日

目に見えない価値

『着た瞬間にデザイナーの世界感に誘われる洋服が
モード服の定義ならば、ゴーシュはモード服なのかもしれない。』

6年前、当時連載を担当していた雑誌で、ゴーシュをご紹介した際に

ちょっと大げさかな、、って思いながら書いた言葉ですが、

まったく大げさではないと、今は思います。

たまに、お客様からストレートな質問をぶつけられます。

「これは、何でこんなに高いの?」
「これとこれは、何が違うの?」

買う側としてはしごく、まっとうな質問だと思いますが、

すぐにわかりやすく伝えるのは不可能だと言っていいほど難しい。















職業柄、多くのデザイナーさんとお話しする機会がありますが、

共通して感じるのは、とっても好奇心旺盛で実験好き。

興味を持ったことにすごい執着を見せ、やってみないと気が済まない

ような実験好きな面があること。

私もこだわりがあるほうだと思っていましたが、彼らに比べると

そうでもないことに気づかされます。

今日ご紹介するゴーシュのお二人も、もちろんその一人です。

いや、ふたりか。。















ゴーシュ

カツラギワイドパンツ ¥24,000+tax

先ほどのお客様からの質問の答えに迫ります。

結論から先に申し上げると、何度もブログで書いている、

「らしさ」をしっかりと持っているかどうかが、

もっとも大きいところです。

しかしそれは、原価があるものではありませんので、

説明するのはとても難しいのです。

いわゆる、アーティストのみせる表現力に似たところが

あるのかもしれません。しかしそれは、才能だけでは到底ない、

努力があっての表現だと思っています。















そして、もちろん素材の違いや、縫製レベルなど、

わかりやすく説明できる部分にも差はあります。

こちらは、「カツラギ」と呼ばれる素材で、

ややしっかりとした双糸の綾織物です。

チノやウェストポイントよりもやや地厚でありながらも、

一年中使い易い素材感であることが大きな特徴でしょう。

クローゼットの定番ボトムに据えるにふさわしい素材です。

もちろん、カツラギにも様々なものがありますので、

ゴーシュの二人が選んだこちらのカツラギが、

とりわけそのような特徴を持っているということです。















サイドポケットに加え、特徴的な小さなフラップポケットは、

4年前に初めて見た時は、ドライビングパンツのような、、

少し違和感を覚える位置とサイズでしたが、

ワイドパンツがたくさんある今となっては、しっかりと

差別化をはかれる素晴らしいバランスとデザインだとあらためて感じます。















後ろポケットも同デザインで、大きなものがついています。
















左から、ブラック、ブラウン、オリーブ、ベージュ、ホワイト。

オリーブが新色で、全5色展開です。





















ブラックは、maison de soil の天然染めのブラウスに、

ちょっと多めの2回ロールアップで履いてみました。















「らしさ」は感じる部分が多く、説明は難しいのですが、

我々が多くのお洋服を見て回る中、確実にハッとさせられる

何かがあるものと、そうではないものがあることは確かです。

それがバイイングの大きな基準となっています。















ゴーシュのブランドの一番の特徴は、彼ら夫婦が

ふたりとも、元パタンナーであることだと思います。

パタンナーとデザイナーは、脳の仕組みが違うといわれるほど、

近いところで仕事をしながら、まったく別な思考でいる存在だと言われます。

ですから、最もぶつかるもの同士でもあります。





















この春夏に新色で登場して、すぐに完売した

ブラウンは、秋冬も健在です。

大人っぽく、シックなブラウンです。















ゴーシュのお二人は、2000年のインディーズブランドブームの

まっただ中に立ち上げた、新しい価値の創造を行ってきた人たちです。


ビッグメゾンや大手アパレル企業でたくさんのデザインやパターンが、

大きな組織で物事を進めていた1980年代~の20年余りが過ぎ、

少し混沌とした中で、それぞれが別のトップメゾンに所属し、

パターンナーとしてキャリアを積んできた二人が目指したのは、

その洗練された技術と感覚を持って、ものすごい日常寄りの

洋服を作ったらどうだろう?

きっといいものができるのではないだろうか?

そんなことを20年前に考えていたそうだ。















20年もの間、たくさんの名作を世に送り出している

お二人だが一貫して大切にしていることに「変化」が挙げられる。

常にアンテナを張り、自分たちが何に感動しているか、

何が気になるかを掘り起こしながら、デザインが始まるそうだ。





















新色のオリーブは、春物のgasa grueのブラウスに合わせて。















気になった頭の中のイメージをすぐに平面に落とす。

途中、二人での論争は絶えないそうで、なかなか先に進まないという。

ある時は、二人のそれぞれの意見を両方形にして、

実際どちらがいいかをお互いに見て決めることもあるそうだ。

とにかく、時間と労力を惜しまない。

「我々にとって、休みに映画を見に行くなんて、とびきりの贅沢です。」

というのもうなずける。















企業ブランドでは、キャドシステム全盛(型紙のデータ作成)で、

それが当たり前になる現代において、年間365日中、300日は

パターン台に向かうという彼らの仕事は、想像をはるかに超えて

ストイックでこだわりが強い。

だからこそ、我々バイヤーが見た時にも魅力を放てるのだと思います。





















ホワイトは、ちょっと着古した感があるかもしれません。

2年前に購入した、妻の私物です。

james mortimer の開襟シャツと好相性です。















もっとも印象的だったお話は、、

さんざん二人でもめながら、ようやく形になりつつあるところで、

「なんか、、2年前に作った、あれに似てない?」

という現象が多々起こるという話です。

つまり、考えに考え、もめにもめた挙句、たどり着くのは、

一度作ったデザインに近いモノになるということ。

変化を求めながらも、現在も残しているデザインは、

そういったものが多いそうです。

定番的なシャツや、こちらのカツラギのワイドパンツもそうみたい。















視覚的なデザインやファブリックへのこだわりは、

大きな潮流のトレンドや、消費者それぞれの個人的趣向や気分によって、

その時選ばれるかどうかが決められる一方で、

ゴーシュが力を注ぐ、構造的なデザインは、洋服にとって

最も重要な着心地を左右する存在であるにもかかわらず、

試着でもなかなか気がつかない歯がゆさもある。

買って、所持して、履いて、洗って、

生活の中に取り入れて初めて、「あれ?これいいな。」って気づく。

ゴーシュはそうやって20年、着実にファンを増やし、

ファッションがライフスタイルの一要素になりつつある昨今の

傾向を前に、「自分たちのできることを続けていくまでです。」

と、少し情熱的に、静かに語ります。


「着て良かったから、また同じブランドを買ってみる。」

そんなシンプルなサイクルが起こることにこそ、

ブランドの実力を感じたりする。

sns で売り買いも行われる今の時代に、ホームページもなく、

お問い合わせは電話だけというゴーシュ。

もちろん、Instagramなどやったこともない。

ぜひ、そのままでいてほしい。















2019年7月16日火曜日

入荷のお知らせ

7月16日(火)

・TRAVAIL MANUEL  コンパクトチノサドルパンツ 

・TRAVAIL MANUEL  コンパクトチノ2タックワイドパンツ 

・ゴーシュ カツラギワイドパンツ 
新色のカーキを含め、5色入荷しました。

・KHOHi  鹿革巾着バッグ
前回入荷の際はご紹介ができなかった白を含めて、3色再入荷しました。

2019年7月13日土曜日

「すごくいいですよ。」

着ると少しひんやりして、

パンツスタイルにパッと着るだけでかっこよく、

袖は肘あたりまでゆるりと美しく、風通しも良い。

なんだか癖になるワンピース。















NO CONTROL AIR

ブランドを代表するファブリックのワンピースです。

キュプラコットンのカルゼ織の素材は、ひんやり、しっとり

として、薄手で馴染みのいい素材感です。

このクウォリティに、製品染を施すのが彼らの定番です。















お洗濯も楽ちんで、ネットに入れて洗濯機でも大丈夫。

数年着ると退色はもちろんあるのですが、

カジュアルで着ていただく分には、縫い目から褪せて着た感じも、

見ていてかっこいいと思える印象です。















ブランドの象徴的なUネックは、少し後ろに抜ける感じで、

思ったより、前下がりはありません。















袖口までの肩下がりがやや極端で、特徴的です。

袖下あたりに分量感が出て、とても女性らしい素敵な雰囲気です。















ポケットもございます。















NO CONTROL AIRのアイコン的なデザインのひとつ。

小さな刻みスリット。






















色は3色。

オフホワイト、ネイビー、グリーン。

真っ赤があったのですが、、完売です。





















白のふんわりパンツにオフホワイト。

大好きな淡色のワントーンコーデ。















所々を黒やブルーの強い色で引き締めて。





















袖下のゆったりとした分量感とふくらみに、

本当に可愛らしさを感じます。





















実は妻、このグリーンとさんざん迷った末、

完売しているレッドを購入しています。

こちらのグリーンもいい色です。















今回は白に合わせていますが、そのほかベージュ系、

特に淡い優しい印象のベージュや、デニムとは相性が

良さそうですよ。















真っすぐ腕を下すと、肘がしっかりと隠れる長さです。















こちらは、FACTORYのサルエルパンツの白にネイビーを。





















この素材のシリーズは、実はお客様から熱弁されて

お取り扱いを始めたものでした。

昔、アナベルでは、なんとなく天然素材の取り扱いが多かった。

NO CONTROL AIRでも、お取り扱いを始めた当初は

天然素材を中心にバイイングして、この素材は扱っていませんでした。

ところが、、しばらくしてお客様から同じことを聞かれることが増えてきた。

「あの、ちょっとしっとりした、キュプラが入ったやつはやらないんですか?」

どうやら聞いてくるお客様は、すでに何枚か持っていて、

アナベルさんでもあるなら、また欲しいという感じだった。

お客様に、、「すごくいいですよ。」って言われて、

始めたのがこの素材のシリーズでした。


「すごく、いいですよ。」









2019年7月12日金曜日

薬味のように足してみて。

7月ですが、寒いです。

とりわけ関東はしっかりとした梅雨模様で連日の霧雨。

気温も25度を下回り、帰り道では長袖でも寒い。

今年はどうやら冷夏の予報。(今のところ)

涼しい夏は、羽織がたくさん活躍することでしょう。

今年はもう一つ、先月末に最終で羽織が入荷しています。





















evam eva

リネンビッグスリットカーデ

¥26,000+tax

こちらは、アンティークグレーのようなオフホワイト。

ほのかにグレーがかったオフ白です。





















こちらは少しフェード感のあるネイビー。

濃色ですが、清涼感を感じる色味です。















品の良い2つ穴の貝釦は、evam evaらしい。

ループで留める打合せのないシンプルなデザイン。

締めて着ても軽さを感じます。





















Aラインでロング丈の羽織デザインに、大きなスリットが

入ることで、裾回りにはとてもいい感じのニュアンスが生まれます。

羽織というよりも、主役として着続けたくなる雰囲気です。















素材はサラッとしたタッチのリネン100%。















しっとり、ふっくら、サラサラです。





















ふんわりパンツに合わせて。

この3年ほど、淡い色味のワントーンコーデは大のお気に入り。

自分でも週に2回くらい、真っ白になる。















インナーにはゴーシュのタンクトップを合わせています。















裾回りが少しヒラリとするような、素敵なニュアンスの

あるデザインです。

端正なデザインの多いブランドの中にあって、

とても目を引く存在でした。















3つある釦をすべて閉じて着ても、全く重くない。

裾のラウンドも素敵です。















Honneteのワンピースに重ねて、ネイビー。

タンクトップドレスに重ねてみると、スリットから

溢れだす布地もあいまって、迫力のある裾回り。















パンツ、スカート、ワンピース、あらゆるものと

相性が良さそうです。

夏の着回しって、「ちょっと物足りない」っていう感覚に

悩まされたりしますよね。

そんな時に、ぜひ足してみてください。

きっと、薬味みたいな存在になりますよ。




<お知らせ>

TRAVAIL MANUEL(トラヴァイユマニュアル)の

リネンボレロカーディガンが完売しておりましたが、

メーカーから連絡があり、多少在庫があったみたいです。

近日、ライトグレーだけ再入荷で通信販売にも掲載します。

宜しくお願いいたします。









2019年7月8日月曜日

クチナシとラック

この春にご紹介した、天然染めらしからぬ

天然染めのコートを覚えていらっしゃるでしょうか。

あの少しキラキラとした、不思議な発色は、

これから始まる夏にもよく似合う。















BLUE BLUE JAPAN

ナイロン草木染ワンピース

クチナシブルー ¥26,000+tax

以前にもコートでご紹介しましたが、とても

ナイロンとは思えない、ソフトでしなやかなタッチ。

着てみても体に張り付かず、涼しい素材感です。















表面には、細かなシワがたくさんありますが、

それが全くだらしなく、嫌な印象はございません。

逆につるりとしたナイロン素材より高価に見えるくらい。















背面にはショルダーヨークに一つボタン。

シンプルで分量感も抑えたデザインです。















そして、ありがたいことに、コート同様に

汗をかきやすいトップス部分にはポリエステルメッシュが。

多少汗ばんでもさらっと着ていただけます。

お洗濯後の乾きも抜群です。















ポケット布もメッシュです。

軽さ、涼しさ、乾きやすさを実現しています。















そしてこちらのワンピース、前側はゴムなしのギャザー、

後ろ側は、ゴムシャーリングというデザインです。

キュッとしたシルエットのウェストには、半面ゴムが入っています。

こちらの深いブルーは、クチナシの実を砕いて精製し、銅媒染で

染料にしています。通常はカーキのような色に染まるクチナシですが、

媒染を変えることで、変化します。

こちらの銅媒染は、きれいなブルー系が出ることから、

クチナシブルーと呼ばれています。
















そして、コートも人気だったこちらのオレンジ。

一見、天然染めには見えないのですが、店頭でお客様から

「鮮やかだけどいやな感じのオレンジじゃないね。」

そのように言っていただきます。

私も展示会で同じように感じました。





















インドのガンジス川流域に生息する

樹木に棲む虫で、「ラック」というのがいるそうです。

その虫が、樹木に樹脂を分泌するそうで、その分泌液を

精製した染料を「ラックダイ」と呼んでいます。

古来から存在する染料で、現代のナイロンを染める。

とても実験的で、BLUE BLUE JAPAN らしい製品です。





















ジャストサイズでリラックスして着ていただける

夏のワンピースではないでしょうか。















3サイズ(XS・S・M)あるのですが、身長155cm、

最近、理想体重から平均体重にシフトしてきた妻が

Sサイズを着ています。

XSも着られますが、着用の際にちょっときつく感じることと、

丈が短いのが気になるところ。

150cm前後の方がXS、155cm前後の方がS、160cm以上の方はM、

そんな具合ではないでしょうか。





















袖はいい感じに二の腕を覆い隠す、

やや短めの半袖。





















本当にラフに、ビーチサンダルなんかで

着てもかっこ良さそうですが、今回は2色とも革靴で。















それと、、完売していた「KHOHi(こい)」の

鹿革の巾着バッグが再入荷しています。

店頭で、ぜひご覧ください。















しんなり、さらりと、程よい光沢感のある不思議な素材感。

天然染色の経年変化も楽しみな1着。















夏らしい小物と合わせて、ぜひ。


<お知らせ>





















暮らしとおしゃれの編集室でご紹介した

こちらのブラウス、人気ですぐに完売してしまいましたが、

本日、メーカーさんから連絡が入りました。

「奇跡的にフリー在庫が少し出た。」

「色は、ホワイトとライトブラウンです。」

ライトブラウンはご紹介していなかったお色ですが素敵です。

ブラックはないそうですが、2色が近日入荷予定です。

気になる方は、お電話などで入荷確認後、ぜひご来店を。