2018年3月31日土曜日

魅力的機能美

「着心地が良い」という理由で、

ファンを獲得していくことは、ブランドとしては本望であろう。

そしてそれは同時に、ブランドの強さでもある。

ブランドにはそれぞれの個性があってしかるべきであるから、

何が一番優れているかは着心地だけでは一概には語れないが、

ゴーシュのそれは、一定の次元を超えたところに

あるように思えてならない。

もちろん、僕のえこひいきも多少ある。

多少である。





















ゴーシュ

バーズアイデニムカシュクールJK

indigo ¥28,000+tax

以前、パンツでご紹介したものと同素材です。

















たて糸がインディゴ、ヨコ糸がブラックのソリッド。

交織のドビー織です。

ドビー織の織柄が、よく見ると鳥の目のようであることから、

「バーズアイデニム」と呼ばれています。

ところどころ白っぽく見えている部分は、

たて糸のインディゴが少し色落ちしている部分。

ジーンズと同じで、着て洗っていくうちに、

いい感じの経年変化もお楽しみいただけます。





















デザインは、内掛けもついたカシュクールの

ジャケットデザインで、ひもをしっかり結わくと、

右側のポエットはふさがります。

















このVネックラインが絶妙なのです。

肩口から、袖にかけての背面から見たシルエットは、

美しすぎて、ため息がこぼれそう。

一見、作務衣(さむえ)の様にも見えるデザインですが、

着ていただければ、その差は歴然である。





















羽織るだけでもかっこいいのです。















着てみると、見た目ほどゆったりしておらず、

スッキリとした印象なのです。

でも、着心地は楽なのです。















紐をしっかりと結わいた状態です。

作務衣のような、ライダースのような。。

素敵なジャケットです。















横から見た時の裾回りにも、

ダボついた印象のないデザインです。


そして、このジャケットの最も美しい角度がこちらです。





















少し肩線が後ろに抜けたような、

立体的なデザインは、後ろVネックもあいまって、

とっても女性らしく、美しい。

着始めは布地の多少の硬さもあって、少しごわつきも

感じられるものの、数回も着ていただければ、

その人に沿った素晴らしい曲線を描くことでしょう。















お洋服のパターンメイキングは、体に近いものほど

難しいとされています。もちろん布帛での話です。

ですから、体にフィットさせたシャツやブラウス、

そしてジャケットを、ストレッチ素材を使うことなく

着心地の良いものにするのが、その腕の見せ所。

ゴーシュの作るお洋服は、そのレベルはポー―ンと

超えているように感じます。

ルーズに見えて、着てみるとすっきりと見える服。

コンパクトに見えて、とても着られそうにないように

感じるが、着てみると全くストレスのない服。

ゴーシュのお洋服は、視覚的な機能美のようなものを感じさせる。

人は洋服を身にまとったら、際限なく無限の動きを見せる。

人がどのように動いても美しく見える服は、ある意味理想である。

そんなことを、「カジュアル」の範囲内で行っている。

それがゴーシュのお洋服の魅力の一つなのだと感じます。







2018年3月29日木曜日

開拓者

「ハイスタ」、「ハリラン」、「オクラ」。

我々と同年代のファッション好きならすぐわかる。

ハイスタ=HIGH!STANDARD

ハリラン=HOLLYWOOD RANCHMARKET

オクラ=OKURA

私もさんざんお買い物をしたお店である。

中でも、ハリランにおいては、1972年に代官山に

1号店をオープンしている。

そして、驚くことに全く同じ場所に、今もあり続ける。

当然、オープンした当初は代官山などまさに山だったに違いない。

今でこそ、おしゃれな街並みだが、当時は何もなかったのだ。

だから彼らは、日本のファッション文化をけん引してきた

ばかりか、「代官山」という街の文化形成もけん引してきたのだ。

当時から変わりない、彼らの作り出す洋服を

今、自身のお店で紹介できることを嬉しく思います。





















Blue Blue Japan

インディゴニットロングカーディガン

¥23,000+tax

インディゴや藍染は、彼らの代名詞ともいえる。

もともとは、アメリカのデニムカジュアルをベースに、

独自のファッションスタイルを築き上げてきた。















経年変化というものを教えてくれたブランドでもある。

昔履いていたハリランのジーンズは、ワンウォッシュで買って、

擦り切れるまで履いた。

デニムにバンダナを差すことを覚えたのもハリランだ。

きっとこれもいい色落ちをすることでしょう。





















着てしまうと見えないが、

フロントにはボタンが一つ。





















袖はこんな形。

着た時に、女性らしいふくらみを感じさせる。

編みかえも印象的です。

色落ち具合に変化が出て、長く着ることの楽しさを

教えてくれるはず。





















サーカスキュロットに合わせて。

パンツにはもちろんだが、ワンピースやスカートにも

似合いそうです。















そして、トップスから編みかえられた、ほとんどの部分が

メッシュになり、涼し気な透け感があるのも良いところ。















1972年にオープンした彼らのお店は、いつ前を通っても

人がひっきりなしに入っている。

聞くと、どうやら3世代にわたって通っているお客様もいるようだ。

お店としては、理想の形ではないだろうか。

そんな彼らのオリジナルブランドには、「デザイナー」という人が

存在しない。

そう、、楽しそうにみんなで今も作っている。

展示会などは、さながらお祭りのようでもある。

それぞれのブランドを任されたチームが、

みんなでブランドを担ぎ上げ、ワッショイ、ワッショイやっている。

そんな状況で生まれる洋服が、つまらないはずがない。

なんだかファッションというものの普遍性を

示されている気にもなる。

これからもいくつかご紹介が続きます。





2018年3月24日土曜日

シャツに一枚羽織る季節

お気に入りは、いろいろ着てみたいものです。

これとは合うだろうか?

あれとは合うのかな?

こう着たらどうか?

アナベルで、シーズンごとにお勧めしてる、

特徴的な刺繍の施されたブラウスを、

いろいろとスタイリングしてみました。





















maison de soil

コットン刺繍ブラウス

¥19,000+tax















薄手のコットン素材に、キャンブリック仕上げを

施した生地は、さらっとしながらも品のいい、

自然な光沢感をほのかに感じさせる。

刺繍は、春夏用に施された、相変わらず

素晴らしい手振りのミシン刺繍。















フォーマル素材のキュロットに、

サックスブルーをタックイン。

そう、色はホワイトとサックスブルーの2色展開。















ゆったりしたバスト寸に、オーソドックスな着丈。

タックインしても、外に出しても着ていただける。





















上から同じくmaison de soil の

キルティング素材のジャケットを羽織る。















チラッと覗く、印象的な刺繍が良いのです。





















サックスブルーの裾を出して、

フォーマル素材の細身パンツに合わせて。















キレイ目でありながら、ラフ。

カチッとしたシャツを着るよりも、

「普通」に収まらない雰囲気を感じさせる。















奇麗なサイドのラウンドと、後ろの共布ボタンが

上品で女性らしく、ゆったりしながらもだらしなくない。





















orslow のダッズデニムのワンウォッシュに、

ホワイトを。















デニムに白シャツ。

定番的スタイリングに加えるブラウスとしても

おすすめの1着です。















襟付きのシャツには持っていない、

軽快さやフェミニンな雰囲気を纏っている。















デニムに白シャツは同じでも、

上から羽織るものにも変化が出るかもしれません。

こちらは、evam eva のコットンローブカーディガン。





















GASA*の完売してしまったパンツに

あわせてホワイトをタックイン。















小さなショルダーバッグで、

タックインしながらも軽快な雰囲気を。

バッグは私物です。















ハイウェストなワイドにタックイン。

背が小さくてもバランスが良ければ素敵です。

ぜひ、お試しください。















上からゴーシュのバーズアイデニムの

カシュクールジャケットを羽織る。


三寒四温を乗り越えて、

もうすぐシャツに一枚羽織る季節。

なにになにを重ねましょう。

考えるのも楽しんで。




ナチュリラ春号





















「ナチュリラ春号」(3/20発売)に、

掲載していただいております。

今回は、久しぶりに妻も登場しております。

ぜひ、ご購読を!


※誌面でご紹介している「帽子展」は、

4月12日~に変更しております。

申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

















また、「暮らしとおしゃれの編集室」の連載が

更新しております。

そちらもぜひ、ご覧ください。





2018年3月20日火曜日

気迫と気概と思いやりと。

ある日本のトップデザイナーの手記を読んでいると、

何度も何度も書かれていることがある。

「トレンドを考えてモノを作りたくない。」

「いつも自身に正直なモノつくりがしていたい。」

シャネルも同じようなことを言い残している。

「トレンド」は、マーケティングとしては大切な

事柄であるが、作り手には、もしかしたら

邪魔な存在なのかもしれません。

GASA*の洋服を見ていると、

あまりの力強さに、そんなことを考えてしまうのです。





















GASA*

”大泣き cry ” ギャザーコート

ブルー(天然染め)¥58,000+tax















しなやかさの中にしっかりとしたコシのある

コットンリネン素材は、アンティークの布地のよう。





















見返しをピークドラペルのように

伏せた雰囲気が、ラフであり、

かっちりしすぎない、見事なデザイン。

ギャザーとの取り合わせも最高です。















背面も大分量のギャザーが美しい。






















わざわざ内側に施したステッチも、

イメージから湧き出る大切なデザインの一つなのです。





















2色展開ですが、お値段が異なります。

black ¥52,000+tax

blue ¥58,000+tax

ブルーは、「ラピスラズリ」と「ブラックシリカ」を

染料とした、天然の鉱物染めなのです。















丸みを帯びながらも、「美しさ」「かっこよさ」が

際立つのが、GASA*のお洋服。















決して、「ナチュラルでイージー」なお洋服ではない、

細やかなこだわりの集積が、一目で感じ取れる上質な服。





















ラピスラズリとブラックシリカが混じりあう、

少しグレーイッシュな絶妙な青は、

ゴーシュのカツラギワイドパンツに合わせて、

白いストールを載せてみた。















一つボタンの軽やかさと、

袖まくりの似合うデザインは、

春先、初夏、梅雨時期と長い付き合いになりそうだ。















そして、GASA*のお洋服には、

ショルダーバッグが良く似合う、、気が僕はする。















ブラックは、GASA*尽くしでコーディネート。















中はこんな感じ。

残念ながら、ストライプのパンツはご紹介前に、

完売してしまいました。





















上からギャザーコートブラックを。

巻物は同じく、evam eva のリネンヘリンボーンを。















ところどころに、軽やかな色調をちりばめて。

やはり一つボタンがいい感じ。















そして、やっぱりショルダーを合わせたくなるのです。

sono のsono2のグレーを提げて。。



~ The Gift of the Magi~
   O. Henry

贈り物をめぐる行き違いは

相手を思うからこその行動でした。


お互いの笑顔のために。


2018SS GASA*コレクションテーマより


1906年、O. Henry による短編小説、

「The Gift of the Magi」(賢者の贈り物)を

テーマにした今期のGASA*コレクション。

クリスマスプレゼントをめぐる行き違いは、

すれ違っているようで、互いへの思いやりを

強く感じ、その姿が本来あるべきプレゼントだと、

物語の最後に結びを付けている。


洋服が好きで、高価であってもGASA*のお洋服を

買ってくださるお客様に向けて、デザイナー五十嵐さんは、

自身から湧き出るクリエーションと正直に向き合っているのでしょう。

毎度ながら、そのような気迫と気概を感じるのです。




<お知らせ>

明日、3月21日は祝日ですが、水曜定休です。

お間違えの無いようお願いいたします。