2021年11月29日月曜日

TOKIHOの魅力

 わずかな変化は、彼の気分を表すものであって大きく印象を

左右するものではない。100年後の誰かが見た時にも、

同じ印象を与えて手に取ってもらえるような洋服を、

人生と共に作り続けるのでしょう。

今回のワンピースコートもまた、

わずかな変化が新鮮で、素晴らしい素材はつい触りたくなるのです。
















TOKIHO
ANNA-VI ¥53,900(税込)

お色はこちらのブラックのみの展開です。

やや厚地のコットンシルクの素材は、起毛感があり、

しっとりとした光沢の抑えられたベルベットのような

印象もある素材です。革で言うところのヌバックのような。。

秋冬のワンピースとしてはもちろん、セーターやワンピース、

シャツブラウスの上から重ねても着ていただける、

半ばコートのような存在です。





















ボタンは上と下だけが目に見えるようなデザインで、

これが意外にもインパクトを残すのです。












控えめかと思われる中央部分では、少し特徴的な

クラシカルなカッティング。











このような比翼仕立て。












袖口はボタンが2つ。

キュッと整う袖口がいつも素敵です。












裾脇はベントがあり動きやすく、

視覚的にも軽さが出る。











厚みを出さない綺麗な額縁仕様は、部分的に別布を。











背面はこのように。

ゆったりと、それでいてスタイリッシュでクラシック。

出しゃばらずとも注目を集める存在感。















つい小躍りをする妻。




















一番下までしっかりボタンのあるデザインで、

ワンピースとして真冬も着ていただけるデザインです。

この素材感で、この長さであれば、タイツや場合によっては

中にズボンを合わせ、かっこよく、そして寒さにも十分に

備えることができそうです。











正面から見るよりはっきりとしたAラインの横姿。











上からフリースのベストを合わせて。

(ベストは完売しています。)




















さらにストールを巻いて。











そして時にはアウターとして。

インナーには先日ご紹介したWOOLのワンピースを。











合わせたパテントシューズはお買い得販売中。

catworth パテントシューズ    
¥24,200(税込)→¥16,500(税込)

式典シーズンにも活躍しますので、この機会にぜひ。











TOKIHOのこの魅力はなんだろう。

他では感じられない魅力を持った服。

似たようなものが多いがしかし、それぞれ欲しくなる。

何年も着られる安心感からか?

いや、決してそういう買い方は皆さんしていない。

とってもシンプルなように見える派手さのないTOKIHOの

お洋服は、着ると心が踊るのだ。

実際に踊ってしまう人もいる。


なんだろう、この魅力。。

「着たい」って強く思うのです。






















2021年11月27日土曜日

ホワイトクリスマス

 











暮らしとおしゃれの編集室」の連載が更新しています。

ぜひご覧ください。



2021年11月19日金曜日

モード感と普遍性

あまりにもセーターが良すぎるからか、、

FACTORYがトータルで提案するブランドであることを

つい忘れがちですが、アナベルでも気に入って取り扱いを

続けているコートがついに、WOOLで登場いたしました。















FACTORY
WOOLオーバーコート
キャメルベージュ ¥53,900(税込)

こうして置いて見た印象と、着た時の印象が大きく違うコートです。

デザイン、パターンは、トップメゾンでパターンナーを務めていた

3兄妹の妹さんが担当しています。ビッグシルエットながら、

とても立体的なデザインはシルエットが美しく、上質感に溢れています。











裏地はなく、軽い一重のコートです。

生地は細番手のウール地の産地として有名な愛知県一宮市で、

FACTYORYさんのオリジナルとして織り上げた素材となります。

経糸が、セーターにも用いているニット用のモンゴリアンウールを使用。

ニット用の糸を経糸に用いて織物を作っています。

しっとりとした起毛感や軽さが特徴の素材です。











ボタンは風合いのあるウッドボタン。











サイバラが上に突き抜けて、そのまま脇のマチになったデザイン。

こういったデザインが、ある種のモード感のような雰囲気を発している

ように感じます。




















色々と遊べる襟元も嬉しいデザインです。

そして感心したのはこの仕様。。





















裾の内側に小幅なキュプラがあしらってありました。











袖口も。。

我々の勉強不足もあって、「なんだこれは?」ってなりまして。

聞いてみると、どうやら芯地を入れてある部分が見えないように

綺麗に処理がされているとのことでした。

初めて見た。。とっても丁寧な仕様ですね。















ふんわりパンツに合わせて。




















インナーにはゴーシュのアルパカ混のセーターを着れば、

真冬も十分ではないかと思います。












感じますか?

モード感。











襟はこんなふうに立ててみたり。。











それをシャツ襟みたいに寝かしてみたり。











襟元で遊んでみてください。





















前を開けてもかっこいい。




















ゴーシュのロングスカートに合わせてみたり。




















オーバーコートという名の通り、ビッグシルエットなコートです。

でも、ただ大きいだけのコートではありません。

内側にはジャケットやベストも悠々と着ていただけるサイジングですが、

薄いカシミアのセーターにゆったりと着てもサマになる。


いわゆるモード感を感じさせるデザインでありながら、同時に普遍性も感じます。

多分このコート、歳を重ねるほどに似合ってきそうな予感です。

歳を重ねた自分を想像して、もう一度ご覧ください。





































 


2021年11月18日木曜日

God is in details.

 仕事上、毎回コレクションはある意味楽しみに、

しかし眺める程度に見ています。

2021年は、久しぶりに大きな変化を感じることができる

内容だったような気がしますが、我々のお店などはそのような

劇的な変化を求めません。小さな変化を断続的に繰り返し、

その時の気分にできる限り忠実であれと願います。

そんな我々のお付き合いするブランドの中にあって、

とりわけ小さな変化を絶妙に表現しているデザイナーとして、

TOKIHOデザイナー、吉田季穂(よしだときほ)があげられます。

「神は細部に宿る」という格言があるように、洋服のデザインも

ディテールにどのような変化を与えるかが全体の印象を大きく左右し、

モノとしての質感に大きな影響を与えていると思います。

TOKIHOはその部分において、よくよく考え抜かれたお洋服を

作っているのだと確信しています。















TOKIHO
DUET ¥40,150(税込)
ICE    ※ブラックは完売いたしました。

非常にシンプルなお洋服でありながら、そこから発する存在感は

凄まじく、多くのお客様が引き込まれるように手に取ってくださいます。

こちらが何も言わずとも。。












好きな時代がやや限定的なTOKIHOデザイナーは、

大きなイメージチェンジは図りません。

それはアナベルでお取り扱いをさせていただいている

そのほかのブランドでも言えることなのですが、TOKIHOほど、

その変化の度合いが小さなブランドは他にありません。

大体の形状として、TOKIHOのお洋服は見頃はアンティーク感のある

ややゆったりとしたシルエット。そして細身の袖、というのが特徴です。











多くのファッションデザイナーは、シルエット、素材、色、柄、に

変化をつけて楽しませてくれています。それはコレクションを見ていると

一目瞭然なのですが、TOKIHOはそれよりもカフスや襟、裾のデザインなど、

細かな部分の小さな変化に注力されたお洋服がほとんどで、そこが面白い。




















今回のDUETも、裾のカッティングがよく見ると珍しい形をしています。











なおかつ、スリットにも微妙なカーブを加え、

着用した際のシルエットや佇まいに

拘ったデザインであることがわかります。












ポケットは実際の使用感を考慮し、サイドシームより

やや前側に切り込みで。















後ろ姿も重要です。

裾に注目すると気がつきます。











裾の中心が尖っています。

前後差を生み、リズムがある軽快な着こなしをお楽しみいただける。











ひとつまみのタックも利いています。

摘んだ箇所の閂(かんぬき)も質感を上げてくれる。




















毎回小さな変化を繰り返すディテールの数々が、

着用した際の印象を左右します。しばらく襟のないお洋服が

続いたTOKIHOにも、2021年にはバンドカラーという襟が

付き始めた。












これは気分なのだと思います。















素材はリネンとコットンがおよそ半々で織り上げられた

タイプライタークロスで、腰があり、張り感もそこそこに、

ずっと触っていると、そのソフトなしなやかさに気がつきます。

往々にして、TOKIHOの選ぶ素材は皆、クラシカルで贅沢な素材です。











特に季節が限定されることなく、ほぼ一年中着ていただける

ワンピースかと思います。



























冬には温かいカーディガンを羽織り、下にパンツを

履いて重ねてもいい。











もこもこと見えるカーディガンも、上から悠々とコートを

着ていただける。もちろん細身のコートでは難しいが。。




















小さな変化を実験的に繰り返すデザインは、デザイナー吉田季穂の

ライフワークとなっているカメラにも現れているように思います。

時代を遡るようにレンズを付け替え、「いったいどう撮ったんだ?」

という素朴な疑問から想像を巡らせ、つい眺めてしまうその写真の変化が、

少なからず洋服のデザインに影響を及ぼしている。

被写体のわかりずらいその写真は、やはり細部を捉えている。

今後もその変化に注目したい。