2020年4月30日木曜日

エプロンを付けるみたいに

エプロンは毎日つけますか?

妻は毎日付けて台所に立っています。

今日は、そんな感覚でおしゃれが楽しめるお洋服を

ご紹介したいと思います。





















blue in green
エプロンワンピース
indigoblack ¥33,000+tax

エプロンワンピース、ジャンパースカートと呼ばれるものは、

時にお客様から、「一枚で着れないんですね。」って言われます。

それはその通り、一枚で着れるワンピースをお探しの場合、

却下されてしまうこともあるのですが、でもこちらの利点を

お話して、興味を持っていただけることもたくさんあります。

だって、一年中台所で付けるエプロンみたいな感覚で

着ていただけるんですから。





















誰もが持っているシンプルなTシャツの上に合わせるだけ。

コットン100%で、一年中使えそうな生地感ですから、

冬はセーターの上から着ても可愛いのです。















生地はパッと見にはまったくわからないのですが、

実は染める以前を見ると、誰もが知るジーンズに使用される

デニム生地なのです。しかし、6oz(オンス)デニムという軽量な

デニム素材で、手に持った感触はチノやウェストポイントのような、

年間定番のパンツ素材にあるような生地感です。

こちらのデニムに使用されたindigo糸は、高城染工さんで

糸染めをした素材です。

今回は、そのデニムの上からさらに黒染めを施しています。

つまり、ブラックでコーティングされたデニムということ。

いったいどんな経年変化がなされるのか、楽しみな1着です。















カシュクール仕立てで、取り外しはありませんので、

被って着るデザインです。

ウェストの切り替えはやや下目にあるのが特徴的。















このウェスト位置により、いい意味でフェミニンさが軽減され、

少しオールインワンのような印象が濃くなります。















さらに気に入ったのは、このポケット周りのギャザー。

このウェスト切り替え位置ですと、オーソドックスに

仕上げると、きっとスカート部分に物足りなさが感じられる

のでしょう。そのような商品も多く見てきました。















このエプロンワンピースは、このポケットデザインにより、

その物足りなさを十分に解消しています。

いい感じのふくらみがある。
















ただ、Tシャツの上に着るだけです。

それで自動的に、レイヤーもできてしまう。















ちょっと寒かったら上着を着ればいい。

なんだか重ね着が上手になった気持ちになる。















時にはこんなふんわり袖のブラウスに合わせてもいい。

通常のワンピースにはできない楽しみである。















合わせる素材や色で、またずいぶんと印象が変わりそう。





















ちょっと飽きたな、、なんて思っていたブラウスを

また引っ張り出して着るかもしれませんね。















Tシャツの上から着る。

ブラウスの上から着る。

写真はないけどワンピースの上から着てもいい。


とにかくたくさん着たらいい。

エプロンを付けるみたいに。












2020年4月26日日曜日

小さなタネの物語

数日前、出勤前に小さな行列ができていた。

「何だろう?」と思ってみていると、

「はい、次は〇〇君の番だよー。」と言って、幼稚園生が列をなして、

雑草の綿毛をフーフーして種を飛ばして遊んでいた。

「あの種がまたどこかで花を咲かせるんだよ。」

という先生の話に、子供たちが目をキラキラさせていた。





















ASEEDONCLOUDデザイナー玉井健太郎さんは、幼稚園時代に

自ら描いた絵本の題名をもとに、ブランド名を付けたわけですが、

彼はいったいどんな少年だったのだろうかと、考える一幕でした。

「くもにのったたね」=「a seed on cloud」=「ASEEDONCLOUD」
















彼の創作の中で、この「くもにのったたね」の物語は、

ずっと背景に流れるストーリーとして存在し続けているようだ。

今シーズンのコレクションは、デザイナーが5歳で描いた物語の

続きという設定で作られている。

双子の姉妹が咲かせる花の美しさが、一時(いっとき)は地上に

混乱を生むが、悩んだり、考えたりした末に思いついた方法で、

その花たちは地上の人たちを幸せにする。





















ASEEDONCLOUD
peasant dress ¥45,000+tax
cotton 80% silk 20%

玉井さんが作り出すプリント柄は、そうとうに魅力的である。

いわゆる「ワンリピート」がとても大きいことから、

「洋服のプリント柄」という印象が非常に薄く、

ひとつの作品として見ごたえのあるものに見える。















しかも、色数もすごい。















細かい描写をみると、いったい何版使っているのかと、

いらぬ計算をついついしてしまう。















衿はスマートで飽きのこないシャツ襟。

マーガレット・ハウエルのアシスタントをされていたことが、

この美しい衿からもうかがい知ることができる。















少し肩傾斜のあるデザインは、きちっとしながらも

ラフで丸みのある女性らしさを感じさせる。















タックで切り替えた袖口のデザインは、甘すぎず、

平凡すぎず、とてもブランドらしさが感じられて印象的です。















袖丈は、一見半袖に見えるのですが、実はもっと長い。

7分袖くらいでしょうか。















ウェストはやや高めの位置でタックが入り、シルエットに

変化が出るようにデザインされている一方で、伸縮性のある

目立たないゴム紐が付き、軽く結わくことでアクセントにもなる。















タックがあることで、こちらも平凡なシャツワンピースに

なることを嫌っているように見える。

とても美しい。















ふんわりパンツのホワイトに合わせて。















遠目から見ると、肘辺りのふくらみとウェストの

絞り具合が絶妙に絡み合うバランスの良さがうかがえる。















目立たないゴムひもを軽く後ろ側で結わいて留めている。















SUSURIのムールベストを合わせても素敵です。















春の風が心地よい季節のレイヤード。





















そして嬉しいのは、前を開けても着ていただけること。

インナーにはカットソーや、今回のようにフレンチスリーブの

ブラウスを合わせて着ると、初夏から夏の始まりには、

羽織としてもたくさん活躍します。















純粋な子供が反応しそうな花柄です。





















まったく同じデザインで、素材違いがございます。

ASEEDONCLOUD
peasant dress stripe ¥28,000+tax
cotton 100%

このお値段から、あの花柄がいかに特別感のあるものかが覗えます。
















しかしながらこちらも、コシのある良い素材です。





















オフホワイトベースのストライプは、

無地と同じ感覚で着ていただける。















こちらは下にNO CONTROL AIRの裾ゴムパンツを履いています。
















今シーズンのこのパンツの素材は、サラッサラで心地いい。

透けないけど、涼しい。















少しきちっとした印象のスタイリング。

もちろん、デニムやワイドパンツに合わせたら

また違った良さが出るのでしょう。

















今回のコレクションの背景にある物語を思い返してみたいと思います。

双子の少女が咲かせる綺麗な花たちは地上のみんなの人気となり、

そのうちに雲と地上を行き来する梯子を使って、

地上のみんなは直接花を見に来るようになりました。

自然の光と調和する素晴らしいその景色は、たちまち評判となり、

雲の上へ人々が押し寄せるようになりました。

その状況に恐怖を感じた花たちは、ひとが訪れない夜だけ、

花を咲かせるようになったのです。それを見た双子の少女たちは、

花を不憫に思い、地上とのかけ橋になっていた梯子を外すことにしました。

人々は残念に感じていたのですが、雲の上で咲いた彼女たちの花は、

いずれ種となり、それらは風に乗って蒔かれ、

地上に新しい花々を咲かせることになったのです。

地上の人たちも喜びました。そしてまた、新しい種の冒険が始まったのです。



ASEEDONCLOUDの商品についている札は袋状になっており、

お値段や商品名だけでなく、その中には実は花の種が入っている。

そう、デザイナー玉井健太郎が幼少期に描いた種の物語は、こうして

大人になって作り始めたブランドのお洋服を通して続いている。

種の冒険の物語は洋服を受け取った人それぞれの中で様々に展開する。


それを想像して、、彼はまた新たな物語を創造する。

そこからまた、新しい洋服が生まれてくる。

彼の洋服を着たすべての人が、彼のクリエーションの同胞となる。

十人十色の着こなしが見てみたいと思う。









2020年4月25日土曜日

cross the line

猫の大好きなうちの子供たちは、二人とも

猫アレルギー数値がすごい。

SUSURIの齊藤さんもかわいい猫を飼っている。

なんか、、猫が喜びそうな生地のお洋服です。
















SUSURI
ouru smock 
mokemoke jacquard
¥37,000+tax

映画の中のチャイナドレスからインスピレーションを

受けたというオリジナルジャカード柄は、色合いが独特で、

展示会場に入った瞬間に引き寄せられるものでした。





















こちらも、今までのSUSURIにはなかった色彩のモノ。















脇にはスリットが。

黒いあて布がチャイナドレス感を増している。















そしてモケモケとした裏側。

バックカットジャカードと呼ばれる手法の織物で、

刺繍柄になっている箇所の裏側をカットしてふさふさした状態で

仕上げる織物である。

猫が手を出しそうなモケモケ具合です。。















スリットは、昔のロングシャツのような前気味の位置。

視覚的にも軽さを演出しています。

ひらひらとして、、猫が手を出しそう。。





















裾のカッティングはこのように。
















グローバル化した社会の中で、世界中の先進国の人々が

一斉に同じトレンド情報を共有し、よりストリートファッションが

均一化する中で、昔からデザインのベースとして参考にされてきた

それぞれのお国柄を象徴するような民族衣装や装飾は、

注目してしかるべき要素だと思います。

洋服好きの間でも長く好まれる要素の一つです。















ouru dress
mokemoke jacquard
¥43,000+tax

イエローギンガムと同じく、こちらの生地でもございます。

まさにチャイナドレスをイメージしたデザインのワンピース。





















annabelleでは、NO CONTROL AIRの裾ゴムパンツに

合わせて、よりオリエンタルな気分でスタイリングを作りました。















パンツを合わせることにより、ドレスというよりも、

民族衣装的な印象が強くなるのかな?って感じています。















わたくしのような古着世代には、ファッション的に見ても

少し懐かしさを感じる雰囲気です。

10代、20代の頃、とにかく誰も着ていない柄を求めて

古着屋さんに長居していたころを思い出すと同時に、

あの独特な匂いが蘇りました。















この柄物を「着たい!」と思ってくれるのが少数派であることは、

作っている本人たちが一番わかっているのではないでしょうか。

だからこそ、挑戦意欲を感じます。

わざわざ少数派のためにオリジナルで生地を作ったわけですから。


どうか、、猫だけでなく、少数派の誰かに届きますように。