annabelleでお取り扱いをするブランドの作り手は、拘りの強い
少し癖の楽しい方達が多いように感じています。
もちろん好意的な意味を込めてです。
ストールを展開する「coova(コーバ)」さんも突出したこだわりの
持ち主かと思います。
美大在学中からファブリックデザインや織物設計を学び、就職先も
織物工場という筋金入りの布地オタクである作り手の瀬谷さんは、
布地に対する愛が強く、納品される際の宅配便の備考欄には、
「衣類」とか「ショール」とかではなく、「布地」と記載されています。
納品されるたびに少しクスッとなるのですが、当人はきっと大真面目です。
今シーズンも数種類の素敵なストールが入荷しています。
クレープショール ¥26,400(税込)
coovaさんのストールは全て作り手である瀬谷さんの設計による
オリジナルファブリックを用いています。数々のトップメゾンに向けて
服飾用の布地の製作を請負ってきた前職での経験を生かし、派手さは
ないものの、常に新しいことにチャレンジしている職人気質な女性です。
装いですが、2種類のチェック柄が並び、クレープ加工と呼ばれる
全体に細かなシワ感が生まれる加工により、雰囲気よく仕上げています。
上から、レッド、ベージュ、グリーンの3色展開です。
地が薄いベージュで縦にブラウンのラインがいくつか見えます。
そこにネイビー、スミ黒と実は多色使いの細番手ですから
贅沢なストールです。そしてベーシックでありながら、昔から
ありそうでない柄を作っています。
素材はコットンが45%、ウールが55%のウールコットン素材です。
まだ寒くなりきらない今時期から真冬も使っていただけるストールですよ。
昔着続けていた、メルトンのバッファローチェックのアウターシャツを
思い起こすようなレッドのストールは、色数を増やさないことで
逆に少し独特な雰囲気を纏っているような気がします。
ものがほとんどで、僕も3〜4点所持して長いこと愛用しています。
もし男性の方が見ていたら、おすすめですよ。
グリーンはまた多色使い。
しかもあまり見たことがない配色です。
こちらも派手さはないのですが、この配色にマッチした絶妙な
グレーが印象的です。目立たない4色目が必要だったということですね。
とっても素敵です。
coovaさんの織物は、常にその真ん中を目指して設計するそうです。
だから、機械織にもかかわらずハンドメイドの温もりも感じるのでしょう。
秋冬にふさわしい色使いです。
あとはお顔との相性はありますから、普段取り入れやすい
色系であれば間違いなく活躍してくれますよ。
レッドが一番はっきりした色合いです。普段ブラックのワンピースや
トップスを多く取り入れる方などは、扱いやすいのではないでしょうか。
黒に合うということではなく(勿論合うのですが)、
黒が似合う人はだいたい赤も似合うという意味でです。
今日はもう1種類、ご紹介します。
coovaさんが数年前に開発した代表作の一つです。
ふたまたストール ¥22,000(税込)
こちらはブラウンです。
初めて見た時はテンションが上がりました。
縫って繋いでいるわけではないんです。ふたまたに織っているのです。
3つに分かれます。素材はウール59%、コットン37%、リネン4%です。
素材の見た目はこの3種です。
ネイビーにブラウンとグレーが混ざり合ってとてもシックな色合いです。
でもこれくらいが馴染みがいいんです。
なんせふたまたなので。
ネイビーというよりは、優しい紫のような印象のネイビーです。
ボリュームはほどほどですので、こちらも男性でも使いやすいストールです。
ちなみに僕もふたまたストールは毎年使っています。
実際に目にするとなんとも独特な色合いです。
そしてどれも洋服に合わせた際のカッコ良さが際立つ3色です。
ちなみにこの意匠はcoovaさんの発明で、専売特許です。
ネイビーは最もコントラストのある組み合わせです。
フリンジのブラウンがとても素敵。
色が分かれているので、こんな風にショール使いしても素敵です。
小さく巻くとこのくらいの大きさです。
ボリュームは少なすぎず、大きすぎず。
3色ともどことなく和装にも似合いそうなストールです。
着物にカッコよく合わせてみても素敵ですよ。
coova(コーバ)というブランド名の由来は「工場(こうば)」です。
瀬谷さんが工場に勤めていた際に立ち上げようとしたブランドが
coovaだったのです。立ち上げてこれからという矢先に、工場が倒産して
しまい、自然とcoovaの活動も尻窄みしていく中、瀬谷さんは一人でも
続けるという気概を見せ、周囲の反対をよそに独立して継続して今に至ります。
ブランド名に工場を選んでいるように、技術を持つ職人に対するリスペクトが
強い性分なのだと思います。一度展示会で拝見した織物のプログラムの
量が物凄すぎて驚きました。工場に勤めていて際には、とても大きな機械の
故障を直すのも職人の仕事だったそうで、機械いじりもできるとか。
coovaはこれからも淡々と黙々とした瀬谷さんの研究により、新しい織物を
生み出し、人々の暮らしに潤いを与える存在で在り続けるのだと思います。