先日、ASEEDONCLOUDの展示を行ってあらためて確認できました。
皆さん、このパンツは好きみたいです。
アナベルでは今まで洋服ブランドの先行受注会を開催したことがなく、
今回が初めてでした。こういったことにはメリットもデメリットも
あるのですが、今回の我々にとっての最大のメリットは、
「お客様が何を選ぶのかを見ることができた」ことでした。
当然、僕が全くオーダーをしていなかったものに注目が集まったものも
一部あり、興味を惹かれました。しかし一部を除き、ほとんどがお店の
オーダーと被るという嬉しいことになったのです。
その筆頭がこのパンツです。
HandWerker
work pants 備前壱号
オフホワイト ¥26,400(税込)
HandWerker(ハンドベイカー)の定番中の定番であるこの形は、
サイドカーブが綺麗なストレートワイドパンツです。
このデザインには、しっかりとしたこの生地がマッチするのでしょう。
でもだからこそ、素材違いが登場した際に、あまりに印象が違うことから、
別物として皆さん欲しがっているように見えました。
穿いてもらうと確かに違う。サイズを変えてオーダーする方も
いらっしゃいました。そういったことができるのは受注会ならではですよね。
ウェストの収まりもとても綺麗。バックベルトがあるのでそちらで
微調整をしていただければ、ベルトは不要です。
バックスタイル
サイドカーブに丸みがついているのがわかりますね。
生地がしっかりしていた方が、この丸みがはっきり出ます。
柔らかい生地ですと、落ち感に変わるので、印象も違います。
ちなみに斜めに口のついた大きなポケットがバックポケットです。
ガーデニングパンツには似たようなポケットが見られますが、
寝転がっても中身が落ちなさそうなポケットですね。
今度由来を聞いてみます。
岡山県一帯は、今では児島がデニムの産地として世界的に有名ですが、
戦前までは学生服の一大産地で、日本中の学生服や軍服を作っていたそうです。
戦争が終わり、学生服の発注もそこに集中しなくなり、軍服も作らなく
なったとき、「大きな設備で何作ろう?」となって栄えた一つがデニムでした。
そしてもう一つが「ハンプ」です。僕もコロナ前に見学に行きましたが、
ものすごくでかい。衣料用だけでなく、アウトドア向けのハンプやバッグ用、
トラックの荷台用まで、日本の70%のハンプはそこで作られれているそうです。
この生地も岡山のもので、オフホワイトは綿カスがチラチラと見える
ナチュラルな感覚の素材です。
色は青みの少しあるブラックのように見えますが、
ブラックと比べるとかなり柔らかく、チャコールであることが
よくわかります。
この紙パッチ、、「どうするのが正解ですか?」って聞かれますが、
取ろうと思えば取れますし、当然どちらにするか自由ですが、
取らないのが正解。長年着て、ぼろぼろと古びてきたらかっこいい。
古着が好きな人にはわかる感覚なのかもしれません。
そして、そのうちリーバイスのデニムのように、気がついたら
なくなってた、、というのが理想かもしれませんね。
僕のジャケットはもう3年着まくっていますが、全く綺麗。
まだまだです。
シンプルなゴーシュの薄手セーターにFACTORYのショートカーデを。
綺麗に出ます。さまざまな素材で登場していますが、
デザイナー自身も、まずはこの素材で穿いてほしいと明言しています。
それが特徴かもしれません。
合わせてみました。
この着丈は新鮮でした。でも似合いますね。
そちらもぜひ。
コーデュロイワークパンツ
Beige ¥26,400(税込)
今年のシーズン素材はこちらのコーデュロイでした。
爽やかなベージュとブラックの2色展開です。
光沢感もありますので、しっかりかっこいい印象です。
太畝というような太さはなく、どちらかというと細畝の仲間。
細畝の中の太めさんです。
しかしこのベージュは白いセーターも似合いそう。
優しいグレーも合いそうだし、とても使いやすそうなベージュです。
さらに綺麗めに見える印象です。しかしバック尾錠やバックポケットの
デザインから、単なる綺麗めパンツに見えないからかっこいい。
今回の受注会でも皆さんバック尾錠に注目して見ていました。
ブラックは相性の良いキャメルベージュに合わせて少し
大人っぽくヒールを。
賑やかにしたい方は、トップスに生成りやホワイト、ライトグレーを
持ってきて、ストールや小物に色を足してみてください。
全く違ったブラックの合わせになりますよ。
こちらはシックに仕上げたかったので、ストールも落ち着いた
印象のグレーのものを。ワークパンツであることを忘れそうです。
通勤もできるのではないでしょうか。
今のところ、すごくたくさんの人にヒットするパンツではないのですが、
今回の受注会を見ていても、買って行かれるのはすごく洋服をたくさん
持っている人。もしくは同業者とか。どことなく通好みなパンツなのかも
しれません。お店で見かけたら一度履いてみてください。
そのとき、「?」と思っても、また1年くらいしたら穿いてみてください。
今度は「!」かもしれません。
洋服に対しては決めつけのようなものがなければないほどいいものです。
常に「どうだろう?」という姿勢でいながら、一方で「今はこれ!」
という強い意志を示すこと。そんな気分を示す手段の一つがファッションです。
このパンツには、デザイナー玉井さんの強い意志を感じます。
そう、ブランドの代名詞のような存在です。