2018年11月23日金曜日

正解のひとつ

バイヤーとして展示会などで商品を見たり、

デザイナーと話をしたりしていて、

とても魅力を感じるポイントの一つに、

新しいものを追及はしつつ、

いったい新しいものってなんだ?っていう

疑問符をぶら下げながら、

トラディショナルに一定の敬意を払い、

そこからの気づきや、現代を生きるデザイナーなりの

トラディショナルとの付き合い方を考えている、

ということがあげられる。

やはり、トラディショナルとして括られる、

いわば、長年の実績を持っているものへの造詣が深い

デザイナーが作るものからは、新しさと同時に安心感も

感じられるように思う。





















ゴーシュ

ウールチェスターコート

¥60,000+tax





















純血の英国羊毛としては最古の羊毛である、

チェビオットウールを綾織りした素材を使用している。

昔ながらな、ざっくりとした毛並みを感じさせる

タッチと、高い防寒性とは裏腹な軽さ。

しっとりとした現代的な素材感も魅力だが、

徐々に世の中から無くなりつつある、

トラディショナルな英国羊毛のこの雰囲気が、

たまらなく恋しくなることがある。





















いかにも丈夫そうなツイード生地は、

一昔前を連想させるようないで立ちだが、

着ていただいた時の佇まいは、最高にかっこいい。





















こちらがネイビー。

色は合わせやすいチャコールグレーと

ネイビーの2色展開。

















襟を立てると、裏に付いた釦を付けることで、

ネック周りの防寒もできる。

これも昔のツイードジャケットなどには必ず

見られるデザインです。





















ネイビーも数色の糸が織り交ざり、

印象としてはややグリーンがかったネイビーです。

とても素敵な色合いかと思います。





















妻を見ていて感じます。

普段はカジュアル主体の人も、

冬はコートしだいで、少しシャンとした

雰囲気になるのかもしれません。




























TRAVAIL MANUEL のコーデュロイのワイドパンツに、

ITOI のファーカシミアを合わせ、その上からコートを着ています。

シンプルですが、コーデュロイやファーカシミアの質感と、

しっかりとした英国羊毛の風合いが重なり合い、

女性らしさと品格のようなものを重層的に感じます。

黒のパテントシューズも利いています。















ひざ下のコートをワイドパンツで。

今年の冬はロールアップなしでスタイリング。

バランスに変化をもたらしてみました。















前を開けても恰好の付く、素敵なウールのコートです。





















こちらはネイビー。

ネイビーは、TRAVAIL MANUEL の

圧縮ウールの裏付きパンツに合わせて。
















少し肩が大き目で、ナチュラルショルダーの様に、

キュッとしたに沈み込むように落ちる感じが、

これまた女性の華奢さが出てかっこいいデザインです。

一見、肩が大きめに見えるのですが、大きめな身幅との

バランスも手伝って、全体的にはすっきりとかっこよく、

そしてとっても、女性らしい華奢さが出るコートです。















靴をヒールではなく、R.U. の革靴で合わせることで、

少しいい具合に個性的な仕上がりになる気がします。















現代的な、ちょうどいい丸みを帯びた印象の佇まい。

素材がトラディショナルだからこそのバランスかと思います。

比翼仕立てで、ボタンが見えないのもいいのかもしれません。















「ずっと着ていけるいいコートが欲しい」

冬にはよく聞くフレーズです。

基本的に、冬のコートは収納に場所も取りますし、

皆さんが毎年買うような商品でもないので、

「ずっと着ていける」というフレーズは意識して

バイイングしています。ですから、どれを手に取っていただいても、

ある程度の年数は気に入って着ていただける自信はあります。

中でも今回のこのゴーシュのコートは、トラディショナルな

英国羊毛のツイードですから、単純に生地が丈夫です。

そして、いい生地は見た目も上質なものなのです。

しなやかなメルトンとは対極にある風合いですが、

手に持ってかさばるようなこともなく、

着た時の重さも感じることのない、

本格的なツイードコートです。

「ずっと着ていけるコート」

の一つの正解であると思うのです。