2021年2月21日日曜日

sono1.2.3

革について男性的な目線で見て、「経年変化」という魅力に注目してしまう。若い頃に着てい

たライダースがクタクタになって馴染む感触は大好きだったし、ヌメ革の靴が琥珀色に変化し

て軋む(きしむ)音も好きでした。

お店のお客様として何度もお話をしていた園田さんが作る革のカバンを見た時は、当たり前だ

けど「女性らしい優しそうなカバンだな」と、そう思いました。レザーといえば、

「牛」「鹿」と勝手に思い込んでいた当時の僕は、園田さんの扱う「豚革」についての話に興

味を持ちました。豚革をメインで扱うデザイナーや作家は、現在でもそう多くはないので、そ

の興味はますます強くなり、とうとう一緒に革鞣し(なめし)の見学に出かけました。

確か2016年のことだったかと思います。










「革は食の副産物」と、頭では理解していましたが、工場で実際に「革」になる前の「皮」の

状態を目の前にすると、初めてそれがしっかりと理解されたのを覚えています。

様々な土地から送られてきた「皮」はまずこの樽に入り、石灰水でぐるぐると回されて、

少し綺麗になって出てきます。

出てきた「皮」をシェービングという工程でさらに整え、その後の本鞣しと染色に備えます。

シェービングは、レザーを綺麗に仕上げるのにとても重要な工程で、皮の厚みを均等に削る作

業です。ここで厚みにムラが出ると、鞣しも染色もうまくいかない重要な工程の一つです。










最初のソーピングと似た、少し小さめの樽で、いよいよ本鞣しが始まります。

「鞣し(なめし)」は「皮」を「革」に仕立てる仕事です。

大きくは「クローム鞣し」と「天然鞣し」の2つがありますが、世界で見てもまだまだ圧倒的

にクロム鞣しが主流であろうかと思います。天然な鞣しの方が風合いもよく、環境にも優しい

のに何故?と思いますよね。理由はシンプルです。非常に手間がかかり、高コストだからです。

逆にクロム鞣しは、低コストで均一性があり、生産も早い。その代わり、誰が触ってもわかる

ほど、風合いは異なります。










こちらの工場が25年以上をかけて育ててきた「RUSSETY (ラセッテー)」という天然鞣しの

ブランドは、今や世界のトップブランドからも声がかかる安定した品質を実現しています。

ちなみに天然鞣しは薬品は使用せず、日本ではミモザのタンニンが使われます。

樽の中で水と一緒にぐるぐる回って、美しい「革」になる。

昔、雑誌などで目にした方もいるかもしれませんが、「皮(かわ)から皮革(かわ)へ」

という言葉は、こちらの工場が発信元だそう。










古い工場の2階部分では、染色を終えた革たちを加工をしたり乾燥したりする。

晴れの日には、天井からたくさんの皮がぶら下げられて、乾燥される姿は圧巻です。










これは工場見学の直後、「sono(ソノ)」のサンプル第一号として園田さんに作っていただい

たカバンです。薄いグレーでしたが、数年使用してこのように変化しています。









ベージュですね。

これも2年ほど前の写真ですので、今はもっと深い色に変化していますよ。

僕はこの変化が大好きです。


















そしてキズが目立ちますね。

豚革メインの製品が少ない大きな理由がこのキズです。大きな牧場で悠々と育つ牛と異なり、

豚さんは家畜として狭い環境で育っています。そのため、引っ掻きキズが多いのです。

キズが多く目立つものは、B級として扱われ、靴の内張のスウェード面などとして使用されるこ

とが多いそうです。僕はこの傷を工場で見て話を聞いたときに、すごく惹かれました。

A級もあって綺麗なのですが、「sono」ではあえてB級を使うことにしたのです。

だから、「sono」のカバンには、個性とも言えるキズが所々にございます。

あらかじめ、ご了承をお願いいたします。










今回、久しぶりにたくさんのラインナップを一斉に作りました。

こちらは一番最初に作って今もなお販売し続けている「sono1(そのいち)」縦型です。

「sono(その)」というブランド名にあやかって、商品名は「その1」「その2」、、、

とすることにいたしました。
























シンプルに持ち手が一つ付くだけのデザインは、布のエコバックがレザーであったら

良いかも?という発想で作ってもらいました。










こちらは「sono1」横型です。色は今回はグレーとブラックの2色でお作りしています。










キズが所々にありまして、その部分は後々、色が濃く変化していきますよ。









そしてこちらのカバン、一番の特徴は水洗いを施したこと。

それによって革はいったん硬くなりますが、使用するうちにどんどん馴染み、

数ヶ月で、布のエコバックに負けないくらい小さく畳めるほど柔らかくなります。










「sono1タテ」

僕がもっとも長く愛用するカバンはおそらくこれです。

「simple is vest」とは良く言ったもので、こちらは単独でもヨック使いますし、

ショルダーやリュックを使用している際の補助としても使うので、

やたらと出番が多いのです。









肘にかけたり、手持ちしたり。









肩にかけたり。









A4が悠々と入るサイズです。

















手で持ったときに、地面に着きません。









エコバックのように手に取りやすい場所にぶら下げておいて、ちょっと持って

出かけるようなところを想像して作ってもらいました。









横型です。

縦型が男性も使えそうなユニセックスな雰囲気があるのと比べると、

横型は少し女性のハンドバッグを想像して作りました。










同じく肘掛けで持ったり、









肩掛けで持ったりできますが、縦型とは印象が異なりますね。

好みでお選びください。









横型のグレーです。
























容量はタテよりやや小さめですが、A4が横に入ります。

僕は縦型を、妻は横型をもう5年愛用しています。









こんな色が、、










こうなりますよ。

キズの着き方には個体差があります。









こちらは、「sono2」。

sono2は、2wayのショルダーバッグです。










sono1が何も付いていない袋だったのと比べると、

内側にポケットがあり、ハンドルが付きます。









ショルダーで。









内側のハンドルを持って。









すごく気をつけたのは、このハンドルの幅です。

狭すぎるとコートを着た際に通らなくなるようなことになってしまいます。









こちらは分厚い冬のコートを着ても、肘にかけてお使いいただけます。









ブラック









ショルダーで。

sono2はマチも7〜8cmあり、容量も普段使いに十分です。










ちなみに、こちらが豚革1枚で裁断できる最大サイズです。









本日最後のご紹介は、「sono3」です。

革紐でショルダーを作りました。

小さなショルダーは、小さな長財布であればギリギリ入るサイズです。










このようにパタパタと開くデザインで、両サイドに物を入れることができます。










両側に小さなマグネットが付き、簡単に物の取り出しが可能です。
















ショルダーの長さは、革紐を結く長さで原始的に変更可能です。

















このくらいのサイズです。

必要最低限の荷物の時や、トートバッグとの併用にどうぞ。









紐を二重にまわしていただくと、ハンドバッグのように

持っていただけます。

















そして何度も申し上げていることですが、

豚革はとにかく軽い!

初めて持ったお客様は、本当にみなさん驚かれます。

「レザーなのにこんなに軽いの?」って。

そして華奢に見えますが、そこは革ですから、非常に丈夫です。

















sonor(ソナー)の園田さんは、ご自身のブランドも忙しいなか、

変わらずにannabelle専用ブランドとして、「sono(ソノ)」を

作り続けてくれています。今でも当初の考えの通り、作りたいものを

思いついたときに、新作をのんびりと作ります。

先日のsonorの展示に合わせ、sonoはいよいよsono10まで商品が増えました。

sono6で作ったナップサックに付帯する小物が4つあることで

一気に10までになりました。

次回は、sono4とsono5を飛ばして、sono6のナップサック以降を

一気にご紹介します。