2020年10月22日木曜日

鬼門とは言わせない

コーデュロイという素材は、フランスが起源とされています。

ルイ14世の時代、王に献上されたコーデュロイをたいそう気に入り、

お抱えの庭師の制服を作るのに使ったそうです。

今回、このパンツの別注素材を考えている時、「庭師」という

キーワードが頭を駆け巡っていました。

17世紀~18世紀初頭にかけての庭師を想像して、

このデザインにはコーデュロイだと、思い切りました。





















blue in green
ジョガーパンツ for annabelle
¥24,000+tax

思い切ったという言い方が少し引っかかる方も

いらっしゃると思いますが、アパレル業界で長く

お仕事をしていると、コーデュロイを販売するのが

いかに難しいことかがわかります。

一時期は「鬼門」とまで呼ばれていた素材です。

とりわけレディースファッションでは、コーデュロイが

もてはやされたという記憶がまるでない。

雑誌でトレンドとして取り上げられてもなかなか売れていかない。

そういうイメージの強い素材なだけに、「思い切った」わけです。


















この股下の切り替えデザインが、どことなく植木職人や

庭師といった職業を連想させました。


















お色は全3色展開です。
























ベージュのほか、オリーブカーキとダークネイビー。

今回、コーデュロイを思い切ったのは、庭師や植木職人からの

インスピレーションだけでなく、自身のコーデュロイ好きも

大きく影響しています。一時期は、リーバイス517のコーデュロイ

パンツを十数本所持していましたし、友人の結婚式はほとんど

コーデュロイのスーツで出席しています。

















一般的には野暮ったいイメージが先行しがちな

コーデュロイですが、僕の中では良いイメージしかありません。



















今までコーデュロイのお洋服を着たことがない人も、

このズボンをきっかけに取り入れていただけたら嬉しい限りです。



















起毛素材であるコーデュロイは、ベルベットなどと同様に、

逆毛で光沢感が出るのが特徴の一つです。


















その絶妙な光沢感と素朴さが同居した印象は、

この素材のいい側面なのだと感じます。

60年代のアメリカ、アイビーリーグファッションで

こよなく愛用されたこともうなずけます。


















贅沢ですが、こんな使い方もありだと思います。

バランスがいいし、何より冬は温かい。

















オリーブカーキ。

別注で素材選びからさせていただきましたので、

色展開は迷うところではありましたが、

今回は、「The コーデュロイ」な3色を選びました。


















女性にはなじみのない素材、色かもしれませんが、

非常に色合わせのしやすい、お勧めの3色です。

男性的なスタイリングを楽しむも良し。

ワンピースやロングシャツを交えて、女性らしい

スタイリングを楽しむにも向いています。



















オリーブカーキにブラウンを織り交ぜて、

ややメンズライクなスタイリング。

小物で女性らしさを出しています。


















ピンクなどを合わせると、少し柔らかい印象に。




























ふんわりとしたセーターやフリース、

素敵なコートを着たところを想像してください。























コートやワンピースの端から見えるギャザーたっぷりの

裾がかわいいを主張してきます。


















こちらはダークネイビー。






















ジャケットとも好相性です。



















履いていると、冬が楽しみになってくる。

この上に何を重ねていこうか?

まだ早いけど、ざっくりとしたセーターなんかも

家の中だけで試しに着てみたりする。

















実際には、まだこのくらいだけど。


















スタイリングを作っていて、

「コーデュロイでよかった」とつくづく思います。

素朴さと光沢感のある品の良さは、

今まさに取り入れたかった要素でした。

シンプルなワイドパンツやテーパーパンツのほかに、

少し変わった、annabelleらしいデザインで、

コーデュロイがあったことの頼もしさ。

コートをはじめとするアウターが活躍する季節、

きっとそれを実感できることと思います。

なんせ、ルイ14世が気に入った素材ですから。