2019年5月28日火曜日

毎日幸せ

わたくしの時代、(昭和48年生まれ)おしゃれの

第一段階は、雑誌に出てくるモデルのスタイリングを

一生懸命まねることでした。

古着屋に入り浸っては、似たような服を探し、

サイズが合うものを漁る。

それを繰り返すうちに、オリジナリティーが生まれてくる。

「自分ならここは、こんなのを合わせるな。」みたいな具合に。

完全なオリジナルではないけれど、少し自分なりの空想が入る。

そのあたりから、第二段階なのかもしれない。

そうこうするうちに、雑誌の見方が変わってくる。

商品写真や色使いに素早く目配りするようになり、

いったん入った情報から、オリジナリティーのある

スタイリングが頭の中に浮かんでくる。

この段階までくると、周囲からは「洋服バカ」と呼ばれるようになる。

洋服バカと呼ばれるようになってから20年以上が経つが、

まだまだ、終わりなんか見えてこない。

GASA*のコレクションを目にするたびに、

本当にまだまだだと、思わずため息が出る。















GASA* 

”宴の音色” ズロース ¥50,000+tax

これはまさに、スタイリングの想像から生まれたであろう

GASA*ならではのお洋服かと思います。















リネン生地を泥藍で一品ずつ手染めした、作品とも

言えるズロースパンツ。





















ズロースという名前が付いているだけに、

股下がボタンですべて外れるデザインは、

昔の肌着を連想させる。

すべて、取り外すとスカートのような形になり、

スカートやワンピースの下にはいた時、

パンツの形とはまた違った印象のスタイリングになる。

今回は、パンツの状態だけでのご紹介となりますが、

こちらも機会があったら釦をはずして使ったスタイリングも

ぜひ紹介したい。















さらにはこの刺繍が気分を上げる。

泥藍染もあいまって、かなり雰囲気がいい。















ポケットもしっかりある。

もう一色あった、墨染は完売いたしました。





















パンツスタイルでは、こんなすっきりとした

デザインのブラウスは相性がいい。















同じデザイナーの gasa grue のブラウスになりますが、

素材感は全く違います。

綿麻のシャキッとした、どちらかというとキレイ目な素材。















どこまでやり切れば、ズロースがパンツとして

成立するのか?

その想像は、はじめは難しいのでしょう。

でもどんなに始めは難しいことも、きっと慣れてきます。

GASA*のデザイナー、五十嵐さんはその範疇がとっても広い。

洋服屋が見て、本当にウキウキする。















薄手のリネン素材が二重になるり、

シャリっとした感触と、ふんわりした肌触りが同居する。















高密度な細番手の表地と、細番手でふんわりガーゼ織の

裏地というギャップが、その感触を実現している。















もちろんズロースとして、インナーで活躍させても

素敵です。















座ったときや、かがんだ時に覗かせるスタイリングの

脇役にまわったズロースは、もしかしたら最も

目に留まる、印象に残る存在になるのかもしれません。

チラッと見えたソックスがかっこいいのと同じです。

いや、、そのもっとすごいやつ。















実は以前からGASA*に存在したズロース。

暮らしとおしゃれの編集室でも書きましたが、

susuri さんのフルッタ―パンツを妻が愛用し始めてから、

インナースタイルの価値観が変わりました。


靴下もそうだと思います。

10代では洋服に手いっぱいで、靴下はどうでもいい存在でしたが、

スタイリングを自分で空想するようになった頃から、

どうでもいいどころか、とても重要な存在に変わってきた。

3足1000円か、セールでしか買っていなかったソックスも、

今では8000円くらいのものまで買うようになっている。

これは、長持ちするとか、素材がいいとか、そういった

ことだけではない。

自分の中で、靴下の価値観が変わったからなのだと思います。


このズロースパンツは、そんな心境の変化でバイイングしたパンツです。

もちろん、インナーだけでなくパンツとしても履いていただけますし、

インナーとしての活躍を考えると、夏場だけでなく秋冬も

ワンピースの下に忍ばせることができる。

そう考えたら、5万円が高くないような気がしてきたのです。

だって、、もしかしたら主役のワンピースより、

たくさん着用するかもしれないんですから。

しかもそれが、すごく気分の上がるものだったら、

毎日幸せですよ。