2020年6月2日火曜日

忘れられない夏に

胸に切り替えのある、あて布のような感覚でデザインされた

シャツを「イカ胸」などと呼び、メンズファッションでは

燕尾服などに合わせたフォーマルファッションから派生した

ウィングカラーデザインのシャツなどは昔からよく見かけます。

私も好きで古着からオーダーシャツまで何着か持っています。

着る返部分がタックになったり、別布を用いたりするシャツも

多く見かけますが、このシャツをはじめて見た8年前、

そのイカ胸シャツをすぐに連想いたしました。















maison de soil
Linen embroidery shirts
off white ¥22,000+tax

















イカ胸シャツの切り替えのような感覚で、手ぶりのセンスのいい

ミシン刺繍が額装のように施されるシャツは、もう同ブランドでは

お馴染みの定番的存在であり、コットンでは今シーズンもすでに

ご紹介している。
















しかし今ご紹介するのは、実は待望していたLinen100%。

「実は」と付けたのは、自分でも全くリネンが欲しいという

意識はしていなかったにもかかわらず、展示会でこれを見た時、

思わず「あ、、」っと声を漏らすほどだったから。
















色はどちらも素敵な定番の2色展開。

off white・black



















20代の頃、ジーンズに黒は似合ないと思い込んでいました。

でもある時、女性スタイリストがジーンズに黒のリネンシャツを

すごくかっこよく着ていたのを見て、一瞬で考えが変わりました。

まったく重たさも野暮ったさもなく、トンガリ過ぎた印象もなく、

それどころか、柔らかく軽やかでいて、クラシカルな雰囲気をもった

着こなしは、「ジーンズ×ホワイト」には出せない存在感を放っていた。


















black

ジーンズではないけれど、インディゴに合わせてブラックを。






















リネンの長袖シャツは、僕が春夏シーズンで最もたくさん着る洋服です。

3月後半から着始めて、9月いっぱいは着続けます。

今は一枚で着るのがちょうどいい季節です。


















触るとポコポコとした感触がある凹凸のある刺繍です。

シンプルに着て、かっこいいものだと思います。



















タックインをして、羽織を。


















同じくふんわりパンツの白にオフをタックイン。






















昨年から引き続き、白と白のコーディネートは多い私。

もう気分ではなく、自身の定番スタイルの一つになりました。



















わずかな季節の移ろいを感じることが難しかった2020年春夏。

きっとたくさんの人にとって忘れられない年になるのでしょう。


















南から梅雨前線が張り巡らされ、関東にも梅雨がやってくる。

初夏の朗らかな過ごしやすい日々に一瞬差し込む「梅雨寒」。

車内の寒さにどうにもならない思いをするのもこの季節だ。

















夏に行きかけた装いが立ち止まるのもこの季節。

















なんとなくもう一回ジーンズを履いてみたりする。

ただし、綿麻の涼しいやつだが。























季節の変わり目には、なぜだかベーシックがやりたくなる。

それはたぶん、クローゼットを漁る季節だから。

懐かしい洋服が出てきたり、履けるかどうか怪しいズボンを履いてみたり。




















オーセンティックな雰囲気を持つ華やかな刺繍シャツは、

上質な麻のレースのハンカチを着たような気分です。

ポケットからサッと取り出すハンカチのように、

サッと纏って何度も着てしまいそう。

忘れられない夏に。