2020年12月24日木曜日

小さな幸せ

あらゆるジャンルのデザイナーがお手本にするもの、

それは「自然界」ではないでしょうか。

テキスタイルの開発デザインでは、撥水性を高めた生地を

開発するのに魚や鳥の羽を研究したり、空気抵抗のないフォルムの

車両デザインに、ハヤブサやチーターの線形を取り入れたり。

多くのカメラマンが自然にレンズを向けるのは、

そこに何かを期待しているからだと思います。

今回ご紹介するワンピースの生地は、アイスランドの地表を

イメージしてオリジナルで作り上げた生地だそうです。














ASEEDONCLOUD
Elves dress ¥42,000+tax

スカートにベストを合わせたかのようなデザインは、

一見取り入れるのが難しいようにも感じてしまいますが、

ベスト好きの私としては、「なんて便利なものを!」というくらい

感激してしまったお洋服です。












フロント部分に使用されたストライプが、オリジナルの

ファブリックです。デザイナーがアイスランドの地層を実際に

目にした際に、とんでもない感動を味わったそうで、

その地層の形を生地に表現したそうです。

















織柄を工夫することで表現しています。

ボタンは木を使用していることから、より自然を感じます。

きっとたくさんボタンを触ることで、木の色も変化を遂げ、

素敵な飴色になることでしょう。


















こちらは本来隠すことの多いポケット布ですが、

布地の重なりを感じていただきたく、デザイン的に

わざとポケット布を見せています。
















背面部分はスカート部分と同じ布を使用しています。

このワンピースがすごいと思ったのは、実は、

今までに見てこなかった、年間着られるお洋服であることです。

おそらくデザイナーもそれは意識して、ベスト部分も

スカート部分もコットン100%で作っている。

















スカートはジップとボタンで開く仕様。

ポケットも付いています。

下に着るものは、デザイン上必ずスカートにタックインを

することになりますので、あまり分厚いものは着れません。

春には薄手のブラウスやシャツを着て、夏にはTシャツを着て、

秋にはそこから羽織って、冬には薄手のセーターを。

















今回は、FACTORYのリブ編みのハイネックを着ています。

おそらく、これがタックインできるギリギリの厚みかと思います。





















真冬はインナーパンツやタイツで温かくして、

トップスはFACTORYのセーターにベストを重ねた

状態ですから、この上にコートを着たら大丈夫。


















今回は上にこちらのコートを着ていました。

GASA*のWOOLのコートです。

















背面も可愛らしい。


















今回のテーマにある炭鉱で働くおじいさん達は、

実はコツコツと発掘される昔の炭鉱夫の洋服を集めては

直し、もとに戻していく作業に勤しんでいる。

それは、事故で無くなった炭鉱仲間の男と入れ替わるように

生まれてきて、息子のようにみんなで可愛がっていた実は娘の

女の子が望んだことなのでした。


この地層のベストは、ベストだけ発掘されて、

炭鉱現場で息子のようにかわいがられていた女の子に

着てもらうために、おじいさん達がワンピースに仕立てたのかな?

デザイナーの玉井さんは、いつも小さな幸せを発見させるような

物語をテーマに据えています。

着る人が、小さな幸せを感じられることを願うように。