あらゆるジャンルのデザイナーがお手本にするもの、
それは「自然界」ではないでしょうか。
テキスタイルの開発デザインでは、撥水性を高めた生地を
開発するのに魚や鳥の羽を研究したり、空気抵抗のないフォルムの
車両デザインに、ハヤブサやチーターの線形を取り入れたり。
多くのカメラマンが自然にレンズを向けるのは、
そこに何かを期待しているからだと思います。
今回ご紹介するワンピースの生地は、アイスランドの地表を
イメージしてオリジナルで作り上げた生地だそうです。
ASEEDONCLOUD
Elves dress ¥42,000+tax
スカートにベストを合わせたかのようなデザインは、
一見取り入れるのが難しいようにも感じてしまいますが、
ベスト好きの私としては、「なんて便利なものを!」というくらい
感激してしまったお洋服です。
ファブリックです。デザイナーがアイスランドの地層を実際に
目にした際に、とんでもない感動を味わったそうで、
その地層の形を生地に表現したそうです。
ボタンは木を使用していることから、より自然を感じます。
きっとたくさんボタンを触ることで、木の色も変化を遂げ、
素敵な飴色になることでしょう。
布地の重なりを感じていただきたく、デザイン的に
わざとポケット布を見せています。
このワンピースがすごいと思ったのは、実は、
今までに見てこなかった、年間着られるお洋服であることです。
おそらくデザイナーもそれは意識して、ベスト部分も
スカート部分もコットン100%で作っている。
ポケットも付いています。
下に着るものは、デザイン上必ずスカートにタックインを
することになりますので、あまり分厚いものは着れません。
春には薄手のブラウスやシャツを着て、夏にはTシャツを着て、
秋にはそこから羽織って、冬には薄手のセーターを。
おそらく、これがタックインできるギリギリの厚みかと思います。
トップスはFACTORYのセーターにベストを重ねた
状態ですから、この上にコートを着たら大丈夫。
今回は上にこちらのコートを着ていました。
GASA*のWOOLのコートです。
背面も可愛らしい。
実はコツコツと発掘される昔の炭鉱夫の洋服を集めては
直し、もとに戻していく作業に勤しんでいる。
それは、事故で無くなった炭鉱仲間の男と入れ替わるように
生まれてきて、息子のようにみんなで可愛がっていた実は娘の
女の子が望んだことなのでした。
この地層のベストは、ベストだけ発掘されて、
炭鉱現場で息子のようにかわいがられていた女の子に
着てもらうために、おじいさん達がワンピースに仕立てたのかな?
デザイナーの玉井さんは、いつも小さな幸せを発見させるような
物語をテーマに据えています。
着る人が、小さな幸せを感じられることを願うように。