susuriの展示会にお邪魔するとき、ひそかにこう思っている。
「齋藤劇場を見に行こう。」
物語に溶け込むように流れる音楽とともに、
彼にしか作れない独特な顔をした洋服が並ぶ。
susuri齊藤さんが作る洋服は、過去にもなく、
今目の前にしか存在しない。
未来のsusuri の変化も齊藤さんの手の内にある。
ベストやパンツは完売しましたが、コートを少しご紹介します。
susuri
laboratory gown
¥46,000+tax
実験室で着用するようなユニフォームから連想したのでしょうが、
言われなければまったくそれを感じさせないオリジナリティーに
あふれるデザインのコートです。
布地は春のチルコシリーズと同じ、刺し子調のドビー織。
細かな刺し子のようなステッチが全体に入り、裏面はやや起毛しています。
ものすごい地厚さはありませんが、一重でも十分に冬から春を
楽しめる生地感だと思います。
ガウンのような合わせと共布であしらわれたベルトに
挟まれるようにあるこのボタンは、小さな球体のオリジナルボタン。
ボタンの形、配置、その数がまた独特です。
サイドポケットもございます。
内側はスナップで留める仕様です。
この商品にくぎ付けになっている私に齊藤さんがスッと
近寄ってきて、こう言いました。
「コートというには頼りないのですが、実際に秋冬を通してみたときに、
欲しいけど意外にない、そんな存在のものを作りたかった。」
たしかに、、。
皆様にも経験があるのではないでしょうか?
コートを探す時の常套句です。
「これ暖かいですか?」
もちろん、コートに求められる最上級に欠かせない条件です。
でも、冬に最も寒い1月と2月に着るコートと11月、12月、または
春先ともいえる3月に着るコートは違って当たり前です。
laboratory gown は、その生地感を生かし、真冬以外に活躍する
コートをイメージしてデザインしたそうです。
ただ、この上からニットのポンチョやメルトン素材のマントなどを
羽織ったら、真冬も着ますよね。
こういった、一癖あるようなデザインのお洋服に限って、
長く長く、たくさん着たりするものです。
作るほうもドキドキしながら作っているはずです。
着るほうもドキドキしながら着たらいいのです。
少しづつ自身に馴染んでくるその感覚は、言い難く格別です。
susuriのお洋服は、そういうものが多くあるように感じます。
他に類を見ない、「齊藤劇場」の賜物でしょう。
日々進化するA.I.のニュースが飛び交う昨今、
いかに有能なA.I.が生まれても、齊藤劇場の続きを
予測することはできないでしょう。
だから、魅力的なのだと思います。