2019年10月5日土曜日

さりげなく、美しく、自由に。

「ドラマティックで少しきれいな印象の洋服を作りたかった。」

susuriデザイナー斎藤さんが、今期の展示会で言っていた言葉には、

自身の中にある洋服に対する微細な変化も含まれているかのようで、

かすれた小さな声に、耳を傾けたくなるものでした。

映画「shape of water」からインスピレーションが沸き、劇中に幾度も

登用する卵のシーンから、今シーズンのテーマは「egg」としている。

お洋服のデザインソースも、映画の内容から、海や水に関するものが多く、

映像の揺らぎやトーンからも影響されたという、プリントや洋服そのものの

シルエット、布地にも注目していただきたい。





















susuri

フィンワンピース 
¥40,000+tax
ivory















80/2(80番双糸)の高密度な生地をたくさんの工程を

踏むことで、スルスルっとした光沢感のある特別なコットンに

仕上げています。















牧歌的な印象の残るAラインが多く見られたsusuriのワンピースですが、

今シーズンの新作は、その面影を上手に残しつつ、新しい何かを

ひねり出そうとするかのような、美しいフレアラインが目につきます。















美しいフレアラインに小さなシャツ襟とカフスがあることで

締りが出て、susuriらしさを感じさせる絶妙なバランスを表現しています。

美しさや女性らしい色気をシルエットでは出しながら、それを覆い隠し、

少しはぐらかすようなディテールデザインが個性になって素敵です。





















chacoal

こちらは、柔らかいブラックのような印象のチャコールグレー。

光沢があるが、強くない、素敵な濃色です。















おなじみの衿吊りを誇張した愛嬌のあるデザインは健在です。





















ほとんど見えませんが、下にはフルッタ―パンツを着用しています。





















このサイドの分量感がなんとも素晴らしい。

動いたところはさらに美しく、布の揺れ動くさまは、

まさに「フィン」のよう。





















横に広げると、布の分量感がわかります。

ドレスのようなシルエットを細やかなデザインのこなしで、

美しくもかわいらしく、しっかり日常着として着ていただける

雰囲気にまとまっていて、少しきれいめなワンピースをお探しの

方には嬉しい1着となることでしょう。















サイドにはしっかりと両側にポケットがございます。





















チャコールも下にはフルッタ―パンツを着用しています。

こちらはチラリと見えますね。















アイボリーには黒いボタン。

チャコールには白いボタン。

それぞれの色合いが、きれいにまとめすぎない

デザイナーの気分を現したディテールかと思います。















今シーズン、susuriデザイナー斎藤さんがインスピレーションを受けた、

映画「shape of water」は、1960年代のアメリカを舞台にした、

少し変わった恋愛映画です。

実験用に捕獲された、アマゾンで神とあがめられた奇怪な生物と、

その施設で働く少し地味な女性の間で繰り広げられる恋愛。

そこから連想して、尾ひれをイメージしたこちらのワンピースに、

鱗をイメージしたプリントのワンピースを重ねてみました。





















劇中に何度も登場する、テーマともなっている

「egg」のような鞄を携えて。





















言葉を交わさずとも分かり合える恋愛のように、

お洋服を見ただけで、それぞれがそれぞれの感想を抱きながら、

素敵に着てほしいと願うデザイナーの思いがある。















さりげなく、美しく、自由に組み合わせて着ていただきたい。

自由って難しいと思いますが、ファッションに関して言えば、

「考えすぎない」っていうことが第一歩かもしれません。

思考より先に感情が現れるようになると、いろいろなことが楽しくなる。

ファッションは一番身近な美的感情の対象なのだと思います。

ぜひ楽しんでいただきたい。