2022年10月15日土曜日

Kiokushi-騎憶師-

今月、10月20日(木)〜25日(火)の日程で2023SSコレクションの

先行受注会を開催する「ASEEDONCLOUD(アシードンクラウド)」は、

とても面白いモノ作りのコンセプトを持って活動しています。

それは、毎回コレクションのためにしっかりとした物語があるということ。

コレクションとともに公開されるストーリーは、デザイナー玉井さんの

頭の中に描かれた物語のほんの一部の要約で、実に細やかな部分まで

設定がなされたところにその面白さの真髄があります。

お洋服から物語を紐解くように楽しんでいただける受注会になればと

思いますが、今回はその受注会の前に、現在展開中の秋冬の商品を

物語とともに、ご紹介したいと思います。





















もうなんだかワクワクしませんか?

2022AWのシーズンテーマとなる物語は、”Kiokushi-騎憶師-”です。

「Kiokushi-騎憶師-」

ある地域には記憶の地図を作る職人がいる

 この地域の人々は

お金や土地など自分が何を持っているか物質的な豊かさより

心や知性などの実体の見えないものへの価値が高まり

所有欲から解放され皆が移動をしながらの生活をおくっている

 

彼らには定住居が無く

地図という概念も時間という概念も無い

彼らは豊かな生活を送っているが

特別な日を思い出したい時 特別な場所を思い出したい時がある

そんな時は記憶の保管庫に向かう

 

保管庫には人々が捨てられずにいた思い出の品々が並んでおり

いつどこにあったものか記された地図と共に保管されている

人々はそこで思い出の品を探し

地図を手掛かりに思い出の地を訪れる

 

思い出の地を訪れ 一度記憶の原点に戻ると

彼らはまた移動生活を送る

 

どの土地にも遠い太古からの記憶が幾層にも折り重なっている

いまもなおそこにはっきりとあるもの

人々によって受け継がれているもの

既に何者かによって奪われ失われているもの

今回は、各地に落とされた記憶を丁寧に紡ぎ記憶の地図を描く職人のお話


このようなワクワクする物語が洋服の背景にあるのですが、最も特筆すべきは

ここに書かれた以上に細やかな設定がなされ、ASEEDONCLOUDの洋服は

それに沿って作られているということです。

つまり、、主人公の職業は「騎憶師」で、移動手段は馬。

馬に跨りやすいようにベントは通常より深く設定され、雨風を

凌げるような丈夫な布地を使い、天候によって馬に乗りながら脱いだ

コートが邪魔にならないようにコートを背負うことができるような

ベルトループへの工夫がなされている。

そんな風に物語の中の人物が実際にどんな洋服を着てどんな毎日を

過ごすのかを想像しながら1着づつ仕上げていく。

このようなプロセスでデザインを続けているデザイナーは、世界に

玉井さんただ一人かもしれません。

10月20日からの展示は、僕のそこへの興味が重なって、

お願いして実現したモノです。ぜひ皆様には、普段よりさらにじっくりと

お洋服を見ていただきたいと思います。


さて、本日はコレクションの中でも最もベーシックなワンピースを

素材違いでご紹介したいと思います。
















ASEEDONCLOUD
classic one piece ”Hiraeth map print"
¥52,800(税込)

アシードンクラウドの定番的デザインのドレスであるこちらを、今回は

コットンシルクのオリジナリティーある地図柄で仕立ててあります。

地図の全貌は先ほどのスカーフになるわけですが、こちらは拡大された

ものがそれぞれのパーツに切り分けられ、より複雑なものになって面白さを

増しているようです。












襟はクラシックな小丸襟になります。












基本的にはゆったりした設計ですが、ハイウェストラインでダーツを取り、

ウェストラインを強調したドレスシルエットになっております。












フロントは前開きのデザインで、羽織としてもお使いいただけます。












袖も細いわけではありませんが、カーブを描き、下に向いて

袖の付いたドレスシャツやジャケットのような袖付けであるため、

アクティブに動くようなお洋服ではなく、カジュアルながらドレスの

佇まいです。












袖口も可愛らしい。












ポケットももちろんございます。












ゴム紐があり、軽く結いてシルエットに変化を加えることができます。
















バックスタイル

後ろみはタックもなくインボックスプリーツもありだいぶゆったりとしています。

前身のタック位置がハイウェストで、その少し上がバストラインになりますので、

そこで測るとだいたいバストは115cm-120cm程度で考えればよろしいかと思います。





















コットンシルク素材ですので、ゴージャスすぎない心地よい光沢感と

高級感を感じられる素材です。袖は7分袖ですが、インナーに長袖を

着ることで、素材としては年間着ていただけるものになるかと思います。











前身はダーツで絞ったデザインですので、ウェストラインが

はっきりと見えるドレスのような印象のワンピースです。












Honneteの大判ショールを足して。




















「Kiokushi」は、仕事では馬に跨りさまざまな場所を移動して

暮らしているわけですが、オシャレはしたのかな?

そんな時はこんなワンピースに、こんな帽子を被っていたのかも。

物語の続きは、お洋服を手にしたお客様がいかようにも解釈を

広げて楽しんでいただければと思います。





















パンツスタイルやスカートワンピーススタイルにも羽織として

重ねて活躍するワンピースです。

スカートやブーツとも相性が良さそうですね。






























ジャンパースカートはHonneteのもので完売しましたが、

その中にこちらのワンピースを着ています。雰囲気もぴったり。
















もうひと素材がこちらのストライプです。

ASEEDONCLOUD
classic one piece ”Zephyros stripe"(ゼピュロス・ストライプ)
¥36,300(税込)

今回の物語には、デザイナーの設定では主人公が4人います。

このストライプは、そのうちの一人であるゼピュロスが身につけている

ストライプ生地をイメージした素材です。





















40番手のオーガニックコットンを経緯(タテヨコ)に用い、経糸の

打ち込みを多くしたやや高密度な素材を天日干しでドライタッチに

仕上げた素材です。200年の歴史を持つ播州で織り上げた素材は、

主人公が着続けた際に出るであろうしなやかさが表現されています。
















こちらはインナーにゴーシュのコットンカシミアタートルを

合わせてみました。これからの季節にはちょうどいい重ね着です。












ボトムスには、ゴーシュのコットンオックスフォードの極太パンツを

合わせて。












強調されたウェストラインがよりかっこよく見えるかと、、

足元にはヒールを使いました。












所々のブラックが引き締め役に。





















さらにシャギーなコートを羽織り、ヤクのスヌードで防寒すれば、

あっという間に12月の装いです。

ワンピース、パンツの同系色のレイヤーも可愛らしいスタイリング。

バランスを遊びながら、色々なレイヤーにトライしてみてくださいね。


20日に展示を控えたASEEDONCLOUDから、代表的デザインの

ワンピースをご紹介いたしました。たった6日間の展示ですが、

オーダーをするしないにかかわらず、プロセスを重んずるデザイナー

玉井さんの観点から、あらためて洋服を見ると楽しいので、

ぜひお時間のある方はご来店くださいね。

デザイナーの玉井さんは、22日(土)の午後から数時間はお店にいらっしゃいます。

この機会に玉井さんともお話をしてみてください。お待ちしています。