洋服のデザイナーも本当にそれぞれで面白い。
徹底的にパターンメイキングに力を注ぎ、シルエットを
表現するデザイナーもいるし、トラディショナルなディテールを
得意にして、丁寧な縫製やテクニックを見せるブランドもある。
それぞれが個性的で面白い。
ARTEPOVERA(アルテポーヴェラ)は、何が特徴か?
すごく抽象的だけど、僕にとっては、古着が大好きだった頃の
懐かしい感性が蘇るブランドです。
作り込みすぎない良さというのか、、表現が難しい。
僕はバイイングする際に、実質的な作りも最終的には見ていくのですが、
まずはそのデザイナーらしさが商品にあらわれているかどうかを
すごく気にします。作り込んでいるブランドは自ずとそれが
感じ取りやすいのですが、アルテポーヴェラはその点でとても異質です。
なんでしょう?この肩の力の抜けた感じの特異な空気感は。
紐タックパンツ ¥18,700(税込)
コットン100%のタイプライタークロスは、軽いコートなんかに
使われそうな高密度な薄手素材。軽くて涼しげなので、これからの
季節に重宝するパンツです。
大きなリボン結びは「タックインしなさい」と言わんばかり。
そしてアルテポーヴェラの持つ独特な空気感は、多分ジップの色使いや
ボタン選びなんかも影響しているのだと思います。わかりにくくて
申し訳ないのですが、、「いかにも」な付属使いをあえて避けているように
感じます。
ヒップポケットは両玉縁。
薄手ですが、生地の透け感は気にならない程度です。
まるでコートの袖口のようですが、、
袖口ではなくて、裾口です。
癖のあるスタイリングに。
絞ることで収まりが良いように感じます。
僕はタックインの際には絞らないのが好みでした。
小物で少し綺麗めを狙って。
より綺麗めな印象に。
ARTEPOVERAの一種特異な空気感はどのように生まれるのだろうか?
その答えは、2年前に訪れた岡山のアトリエにありました。
本当に細部に至るまで「好き」が詰まったその場所は、
飾らない自然体のかっこよさを感じさせる場所でした。
そこにあるアンティークの什器や道具が全て飾りでなく現役の道具。
作り込んで飾ったメーカーのショールームとは正反対のかっこよさで、
ヨーロッパの縫製工場なんかに雰囲気が似ていました。
そんな空間を作れる人たちだからこその服なのでしょう。