2021年12月24日金曜日

トラディショナルでコンテンポラリー

人生で一番色々悩んでいた時期、2002年に無職だった僕が

原宿の細い階段を上がって入ったお店で買った、真っ青なスキッパーの

カットソーシャツが、僕にとって初めてのHAVERSACK(ハバーサック)でした。

実はそのお店は当時のブランド直営店でした。ビルの2Fにある狭いお店でしたが、

それから20年経った今、代官山に大きなショップを構え、海外の素敵なショップに

数多くセレクトされる、とりわけメンズではコアなファンを世界中に抱える

ブランドになっています。アナベルで扱っているブランドは、大抵が自分たちで

着てきたものが中心なのですが、もしかしたら最も古株がHAVERSACKなのかも

しれません。間違いなく、いい洋服を作る人たちです。















HAVERSACK
ダッフルコート ¥72,600(税込)

ダッフルコートは、その語源にもなっているベルギーのデュフェル地方の

特産だった、起毛した縮絨毛織物に目をつけたイギリス海軍に採用されたことが

始まりだとされています。












今回使用しているメルトン素材は、その当時のものと比較すると

非常に軽く、薄手でありながら雨風を凌ぐ頼りになる素材です。

もちろん、上質なメルトンですから、他のコートと比べたら重さは

仕方ない。こちらは、ブランドのオリジナルファブリックです。












フードはとても立体的で、当時のミリタリーの仕様を踏襲する

本格的、かつ機能的なデザインです。フードが頭にしっかり収まるように

調整ができるようになっています。











ダブルボタンのチンガードにリネンロープ。

こちらも変えがたいオーセンティックな組み合わせです。












ポケットはさすがの貫通ポケット。

寒い中、内側に着たワンピースやパンツのポケットから

ものを取り出すときに、わざわざコートの前を開けるのは嫌ですよね。

貫通ポケットのコートはいくつか持っていますが、地味に「よかった」と

思う瞬間がひと冬で何回かはあります。






























そして、縫製部分は全て断ち切り。そしてとっても綺麗。

厚みのあるこのような仕様では理にかなったデザインです。












そしてここは大きなポイントです。

地厚な生地でこのようなビッグシルエットのコートを作ったとき、

脇下が嵩張ると、とても着づらい洋服になってしまいます。

それを回避するために、通気口の開いた大型の三角マチが施されています。





























生地も抜群ですから、映えますよね。

中は薄手のセーターでも十分かと思いますが、

極寒の地では、アランセーターなどの分厚いセーターも

余裕を持って着ることができるデザインです。

裏地はなく、伝統的な一重のメルトンダッフルコートです。












この生地を眺めながら、20年前のあの小さなお店で受けた

接客を思い出しました。











たしか、1Fの路上からギリギリ見える窓際に、ネイビーの素敵な

コートがチラッと見えて入店したのがきっかけでした。

そのコートは今はあまり見かけない、ローデンクロスというしっかりとした

ウール生地で、ガッチリした中にふかふか感もある素敵な生地でした。

その日はコートを買う予定はなかったので、他を見ていると、驚くことに

その重たいウール生地で、傘を作っていたのです。

「ローデンクロスの傘!?」

衝撃的な出会いでしたが、無職のくせにあまり大きな買い物はできないと

思い留まったのを後悔しています。たぶん、そういうのを洒落てるって

言うんでしょうね。
















その時は、自分が洋服屋になってHAVERSACKの洋服を

売ることになるなんて、、微塵も考えていませんでした。












横姿も素敵なダッフルです。

ダッフルコートって、それが欲しいと思って買うコートですよね。

あんまり衝動買いしない。

ダッフル気になっていた方には、とってもおすすめですよ。

トラディショナルでいてコンテンポラリー。

そんなコートです。