2023年2月3日金曜日

色々連想しすぎた件

高校生の頃、穴の空いたデニムをオシャレのつもりで履いていたら、

明治39年生まれのおばあちゃんに「これで綺麗なズボン買いなさい」って

お小遣いをもらったことがありました。

後日、あの穴はわざと開けて穿いているのだということを知ったおばあちゃんの

微妙な表情は今も忘れません。いつもきっちりと着物を着て歩き回る人でしたから、

全く意味が判らなかったのだと思います。あれはそういう顔でした。

これを着ていたらどんな複雑な表情が見られたのだろうと想像してしまいます。












HAVERSACK
ダメージ加工風ジャカードJK
¥49,500(税込)

その名の通り、パッと見てもわりとじっくり見ても、

ペイントダメージ加工のように見えるジャケットは、

実は一才の加工もペイントもされていないというのが驚きです。

展示会では僕もすっかり騙されました。












他にも目がいくポイントがとても多いジャケットで、

このチャイナボタン風のフロントデザインとのバランスも

絶妙で、ヨーロッパのセンスの良い古着屋にありそうな洋服を

イメージしてしまいました。

肘や胸元あたりに入る着ジワのような紺色の線ももちろん

表現の一種です。












ボタンも昔のワークジャケットなどに使われていた薄手の

金属ボタンで、本当に感じがいい。












フロントのボタンは打掛ボタンが2つと外側には通常のボタンと

ホールがありますから、チャイナボタンは受け側だけをモチーフとして

取り入れていることがわかります。





















ペイント風のジャカードに関しては、背面と内側を見るのが

一番わかりやすい。外から白く見えている部分は、白糸だけを

表に出るようにしている部分です。よってこの裏側はこうなります。












表が白い部分が濃いブルーになっています。












そもそもネイビーの糸と白い糸を混ぜて織り上げることで

このようなシャンブレーの霜降りを表現している生地な訳ですが、

所々、白糸を抜いてネイビーだけにしたりすることによって、

このようなダメージ風の織物に仕上がっています。

そしてなんだかんだで一番重要なのは、、着て可愛いかどうか。

これは展示会で着てもらった際にも盛り上がりました。












今回は白いチノにロングシャツ。

その上に重ねて着ています。












アナベルではオープン当初から、少しメンズライクなアイテムや

ワーク、ミリタリーを少し混ぜ込んだスタイリングを多くご紹介して

きましたが、皆さんがワイドパンツを普通に穿いてくださるように

なって、そういったアイテムの提案が以前よりもしやすくなった

ような気がします。













ワイドパンツが選択肢に入ると、バランスの幅が一気に

広がりますから、選べるアイテムやレイヤーの作り方も

幅広くなります。












ロングシャツを間に挟むことで少しフェミニンさを出しつつ、

ベストを着るようにジャケットを合わせていますが、このジャケットを

主役にして、ワンピースやキュロットスカート、袴パンツなどなど、

色々なものに合わせておしゃれを楽しんでいただきたいジャケットです。












ワークぽさもあるのですが、民族服らしさもあるので、

民族系のナチュラル服なんかと合わせるとまた全然違った

スタイリングが楽しめそうです。

もちろんストレートなワイドパンツに素直にTシャツなんかで

合わせたらすごくメンズライクでかっこいい印象になりますね。

僕はこういった、個性的だけどスタイリングの汎用性が高そうな

洋服に強烈に惹かれます。



ダメージ風のジャケットを見て、連想ゲームのように明治生まれの

おばあちゃんを思い出していましたが、小学生の頃、おばあちゃんの

若い頃の写真や資料をもとにして、夏休みの自由研究をやったことも

思い出しました。

その資料となった写真の中に、今の感覚で言うと、

「高級レストランでお食事ですか?」と言っても過言ではないような

ヒラヒラした白いワンピースを着てテニスに興じているおばあちゃんの

写真があったことを思い出しました。

思い出せば出すほど斬新で、穴あきデニムなど赤子も同然です。


今、明治生まれのおばあちゃんがこの洋服を見たらなんというだろう。

なんと言われてもいい。おばあちゃんの生きた大正時代の斬新さからしたら

可愛いものだ。その点について、おばあちゃんとお話がしたくなりました。