初めて手紙をいただいた時から、
ずっと気になっていた。
その封筒は、新聞の夕刊ほどの
感触をもって、お店の小さな郵便ポストに入っていた。
便箋3枚ほどの直筆のお手紙には、
作り手のこだわりが、やわらかい感触で、
少し不器用に綴られていて、いくつかの商品の
写真が同封されていた。
annabelle はとても小さなお店で、少し気を抜いて、
好きなものをなんでも入れていくと、すぐに入りきらなくなる。
だから、新しいブランドを入れるときは、とても慎重になる。
このブランドのお手紙は、たしか1年ちょっとの間、
気になって、僕の机の上にずっと置きっぱなしになっていた。
気になったポイントは、「Blue」への強いこだわりです。
Blueingreen(ブルーイングリーン)
リネンインディゴ染めカシュクールワンピース
インディゴ(淡い青) ¥32,000+tax
斜めに走るシャツ釦が、礼儀正しく
少し長めのカフデザインと相まって、
オリエンタルな雰囲気を醸し出す。
僕が一年もの間気になっていた、
最も大きな理由は、この色のすばらしさ。
ブランドの歴史はまだ始まったばかりだが、
彼らの本業とも言える染色は、岡山の児島で
大正時代から続く長い歴史を持っている。
手染めで微調整を行う彼らの染色技術で、
表現できないブルーはない。
主に藍染と天然のインディゴ染めを得意とする。
長めの袖口カフは、重なり合ったスリットのような
デザインになっている。
折り返しても素敵なのだ。
そう、、僕が惹かれたのは、自然光で見た時の、
ブルーの眩しさや光沢感。
深みはあるが、軽く品があり、
デザインに良く似合う青に仕上がっている。
カシュクール仕立ての釦をすべて外すと、
7分袖の麻の羽織物としても活躍する。
ポケットはデザインの都合上、右だけに施される。
新品の状態でも十分に魅力的なブルーだが、
僕が期待しているのは、この素晴らしいブルーの
数年後の姿。
これだけ素敵なブルーだから、さぞ素敵な色落ちを
見せてくれることだろう。
ここでは、今ご紹介できないが、
僕は何年も使い込まれた、ブランドを起こす前の布地を
見せていただいた。
それはそれは素晴らしい青なのです。
憧れの大人を目の前にして、「いつかこんな大人に」という
憧れを抱くことがありました。
並外れた情熱を注がれた彼らの染める青は、
そんな憧れの大人のような青。
一朝一夕では表現できない情熱の青なのです。