絵画鑑賞や写真鑑賞は、
その作者の意図や人生、
背景に迫ることで、より一層
おもしろくなるらしい。。
ゴーシュの洋服は、洋服屋にとって
とても興味深い。
彼らが寝る間を惜しんでひいたパターンは、
とても意図的で、秀逸で、、、
デザインは少し天邪鬼だ。
ゴーシュ
リネンコットンカディ コート
藍染 ¥50,000(税抜)
先月、ヒッコリー素材でご紹介した
コートと同じ形。
ステンカラーだが、襟下がりが
かなりあるため、襟は横に開かない。
とてもゴーシュらしい。
ラグランだが、3枚袖なので、
正面から見ると袖は細い。
ドロップショルダーや、
筒袖の太めのラグランが目立つ中、、
このコートは、とてもシンプルながら、
ゴーシュにしか出せない臭いが充満する。
前を開けても、開かない襟。
肘下を大きくカーブさせて細く仕上げた袖。
前から見てもわからないが、
大げさにゆとりを持ったカマ下。
ハンガーに掛かってると、良くあるデザインに見えるが、
着てみるととても独特な雰囲気をしっかりと持っている。
前をしめるとまた少し違ったニュアンスが感じられる。
彼らの色彩感覚も大好きだ。
毎回、確実に見たことのない色を提案してくれる。
こちらは、通常の染色のモノ。
ブラウン ¥37,000(税抜)
錆びた鉄が、、
もう一度輝きを取り戻したかのような、
鮮やかなブラウン。
ブラウンに対して、「鮮やか」という言葉は
似合わないのかもしれないが、
このブラウンには、その言葉が実にしっくりとくる。
裄丈は長めに設定してあるため、
袖をまくって着てみよう。
ボーダーT-SH、カーディガン、コートという
レイヤーは、この時期ならではの
楽しいコーディネート。
上腕部と背中のふくらみが、かっこいい。
色だしの難しいグリーンを、
深く、鮮やかに。。さすがです。
とても洋服に合わせやすいグリーンに仕上がっています。
ボタンをしめて、正面から見ると、
実にスッキリとした印象だ。
トレンドを超えたところでファンを増やしてきた
ゴーシュのモノつくりの舞台裏は、、
それはそれは、ハードなものだろう。
無音の中に時を刻む音と、
カッターを走らせる音。
時折かわす二人の議論。
彼等にとって、洋服は
アイデンティティーを確立するための、
最良の手段なのだろう。
とても彼等らしい、、少し天邪鬼な、
二つの顔を持つコート。
着たいなーー。