といった話は、ブログで何度も書いたことがあります。
あやふやで根拠に乏しいように聞こえますが、
実際、とても重要です。
お店にはたくさんの素敵な作り手のブランドの
お洋服がひしめき合っていますが、その中でも、、
お客様が必ず手に取るブランドというのが存在します。
理由はきっと、「なんとなくいいと感じる」からということに
尽きるような気がします。みんながそう思えるのだろうと。
実はいくつかのブランドで見受けられるのですが、
圧倒的に多いのは、「TOKIHO(トキホ)」の洋服です。
とりわけコートに関しては、ひょっとしたら来店した
全員が手に取っているのではないかと思うくらいの
確率で、嬉しいことに、皆さんが褒めてくれます。
お値段がそれなりにしますので、皆さんが購入には至りませんが。
LIGHTNESS Ⅷ
sepia ¥74,000+tax
WOOL100% のメルトン素材は、super100's(スーパー100)という
非常に張力のある上質な羊毛を使用しているため、肌触りはとてもやさしく
ソフトで、着心地の良さにもつながっています。
総裏のコートで、裏地には胴裏にしっかりとしたコットン、
袖裏にやや滑りのあるコットンを用いている。
そのため、手に持った際の重量は、重すぎる感じはないのですが、
けっして軽いコートとは言えません。
クラシカルな冬のWOOLコートと言えるでしょう。
風合いに仕上げています。
右に一つ、左に2つ。男性用のクラシックなコートの
デザインをしっかりそのまま女性用のコートに残しています。
(スベスベではありません)
使い続けるとポケット口が下がってきますよね。
最初から下げたデザインという事ですね。
デザイナーは、「LIGHTNESS」というコートのベースデザインで、
何作も世に送り出している。
ちなみに僕は、メンズの「LIGHTNESS Ⅵ」を愛用していますが、
今回ご紹介しているⅧと比較すると、もう少し衿が低く、
ノーカラーに近い印象です。
着心地は、相当にいいということは間違いありません。
パターンメイキング、サンプリングのための縫製、仕上げを
全て自身で行い、展示会をし、受注を貰った商品を信頼する
工場の職人さんに生産依頼するといった方法をとっています。
分業の多いアパレルにおいて、一貫して自身の目の届く
範囲でモノつくりが完結していることは、TOKIHOの
強みの一つかもしれません。
自身のブランドを立ち上げる前は、パターンナーとして
腕を振るっていた時期もある彼のパターンは、本人曰く、
「ただただ基本に忠実に、当たり前のことを正確にやっているだけ」
というが、きっと現代の量産品にはそれが全く感じられないので、
際立った雰囲気を纏うのだとも思えるのです。
「当たり前のことを普通にやる」って洋服つくりでなくても
意外に難しかったりしますよね。
大き目で滑りのいい裏地を付けると、なんとなく着心地は
いいように感じるのですが、これはそういったものではなく、
しっかりと肩で着て、細目にデザインされた腕を回して見ると、
まったくストレスなく動かせる。その運動が身頃に響かず、
腕を上げてみても身頃が暴れることはない。
袖付けはコンパクトに見えて、しっかりとした運動量を
確保しているお洋服です。
という事と、防寒にも一役買っているように感じます。
実際に着ていて、袖周りがキュッとした感覚があって、
温かさを逃がさない、寒気を中に入れない、そういった
効果もある様に感じます。
少し生地に表情が生まれる程度の洗い加工が施された
仕上がりも、TOKIHOの大きな特徴の一つです。
ヘム(裾周り)やベントも少し跳ねた感じも見受けられる。
それがTOKIHOの洋服だと思います。
それ以上でも以下でもない。
軒並みな表現しかできませんが、
「普通に良い服」を作り続けるんだと思います。
納期設定は普通でなく、12月納品というアパレルでは
異例中の異例である納期設定には少し驚きますが、
セールをやらないお店にとっては、大きな問題ではないの
かもしれません。
これから来る寒波に、お勧めのコートです。