2018年5月28日月曜日

高田さんの帽子2018~願いを込めて~





















「すごく流行ってますよね。」

「どこに行っても見かけます。」

ファッション業界では、往々にして

流行物はすたれるというサイクルが定石ではあるが、

彼らの場合、そうならないと僕は勝手に確信している。

一つは、打算的なトレンドをキャッチしたような

弱弱しい企画でも、デザインでもないから。

もう一つは、過去のブログでも再三述べているように、

デザイナーを務める高田夫人は、少し丸顔で、

おっとりした印象の可愛らしい女性であるにも関わらず、

とても頑固者で、帽子に対する情熱が尋常ではないから。





















今シーズンは、嬉しいことに箱も作っていただいた。

mature ha. × annabelle

BOXED HAT 9cm brim ¥18,000+tax

これだけ有名になった今も、彼女は誰よりも

最前線で情熱的に接客にあたる。

その姿を見ていると、とてもすたれるところなど

想像もできないし、むしろ応援したくなる。

きっと僕だけではなくて、全国、いや、いまや世界中に、

そう思っているバイヤーがたくさんいるはずだ。















9cm brim

Mix brown × ブラック細リボン

アナベルの別注モデルは、最も有名な11cm brimの

つばの長さを少し短い9cm にしたデザイン。

今年は、さらに縁にラインを入れていただいた。















9cm brim

Grey × ブラック細リボン

グレーは3年前にも別注したが、その時のものと

縫製糸の色を変えてもらった。よりクールな印象に。















9cm brim

Grey × 杉綾ブラックリボン

形は同じだが、リボンが変わるだけで印象も変わる。

そして、もう一つお願いしたのが、ふちのラインを

裏表ともに入れていただくこと。















annabelle 別注モデルの最も大きな特徴は、

つばを下げてもかっこよく被ってほしいというところ。

だから下げた時にも、ラインはあったほうがいい。





















これが杉綾のMix brown。

今シーズンの別注は色違い、リボン違いで

全4種類。





















大きすぎず、小さすぎず。

毎年ご好評をいただいている。





















その他のmature BOXED HAT と同じく、

つばの形は、ある程度自由に変えられる。

前だけあげて、後ろは下げて。





















スタイルも意外に選ばない。

ワンピーススタイルからパンツスタイルまで。





















大きさやリボンの種類によっては、

可愛らしくなるものもあるが、

annabelle 別注モデルは、どちらも、

かっこいい印象が勝るように作っていただいてます。





















どちらかというと、こちらの杉綾のほうが、

よりかっこいい印象です。





















パンツスタイルに。





















いろいろな色合わせにも、

対応できるかと思います。





















被り方で、多少印象が変わります。

いろいろ試してみてください。








































このクシャッとしたニュアンスが素敵です。

この帽子がすごいと思うところは、

ただつぶして、「箱の中に入ります」という

商品ではないところ。

もう何年も前、高田さんがヨーロッパを旅行中、

シャツ箱に素敵に収まって高く積み上げられた

ドレスシャツのディスプレーを見た瞬間、

「帽子もこうやって収納できたなら、

お客様はどんなに喜ぶことか!」そう思ったそうだ。

が、しかし、帽子には型があり、本来ある型を

崩した状態に変形させて長期的に収納するなど、

帽子を作るものとしてはもってのほか。

そこで、彼女が挑んだのは、箱に入れた状態、

つまり、ぺしゃんこな状態で型入れを行うこと。





















彼女の並々ならぬ努力が想像できる。

事実、mature には「型入れ部屋」なるものがあり、

そこで何度も何度も実験が繰り返されていたため、

その部屋に入れるスタッフは、数人に限られていたそうだ。






















努力が報われて、人気がうなぎ上りに

なりつつあった4、5年ほど前、ある事件が起きた。

偽物が横行し始めたのだ。しかも悪質で見た目の似ているものが。

当然すぐに、発覚して大事には至らなかったが、

回収などにはとても苦労したと聞いている。





















特殊な技術故、本質的には真似はなかなか

できないのだろうが、同時進行で

特許申請はしていたようだ。

そして、昨年めでたくその特許申請が認められた。

「祝・特許」な年なのです。





















シンプルなスタイルにちょっとしたニュアンスを。





















シーズンが終わったら、お疲れさまと

声をかけて、そっと箱にしまってあげてほしい。

そのほうが、帽子が長持ちする。





















僕と高田さんの変な押し問答から

いったい何年経ったかわからないが、

初めて会った時のあれがなかったら、

お取り扱いをしていたかどうかわからない。

そのくらい、その時の彼らの情熱と

少し空回りした回答が素敵すぎると感じたのだ。

そして、それは今も変わらない。

(空回りはしていない)





















数年前から積極的に海外の展示会にも

参加している彼らだが、そこでも彼女は最前線。

パリに住む知人の話では、前日にやってきて、

レンタカーを借りて地元のホームセンターに赴き、

設営用の資材を購入し、できる限り安価で、

使い捨てができるようなアイディアで、

その場で考えて、すぐに設営に臨むそうだ。

異国の地で、女性一人で。





















今やパリでも大人気だそう。

コミュニケーションが十分でなくても、

商品の面白さや、彼女の一生懸命で誠実な

姿勢は、きっとダイレクトに届くのだろう。








































我々も、できるだけ多くの人に、

高田さんの作った帽子をご紹介しようと思う。

流行を通り越して、「定番」になればいい。

そう願いながら。



<お知らせ>

6月1日(金)は、展示準備のため

臨時休業いたします。

よろしくお願いいたします。