雨があって、太陽がある。
そこに偶然居合わせて、空を見上げると
七色の虹が広がっていたりする。
空はこんなに広いのに、
見る人もいれば見ない人もいる。
車に乗っていては見れないし、
うつむいて歩いていては見ることができない。
ゆっくり歩いて、雨がやみかけて、
「あ、太陽。。」
そう思って空を見上げてみた人が目にするのが虹。
必然の中に起こる偶然に、人は運命を感じたりする。
前職での通勤途中、渋谷の並木橋で
毎日のように目にしていた木の看板があった。
『傳』という漢字が一文字書いてある縦長の看板だ。
お世辞にも目につくとは言い難い、おとなしい佇まいだった。
お店を始めたある日、展示会シーズンに届くDMの山に、
ひときわ目につく見覚えのないブランドからのDMがあった。
開けてみると、、『傳』という文字がある。
才能とバイタリティーを感じるブランド、
「傳」(つたえ)のご紹介です。
傳(tutaee)バタフライブラウス
black ¥10,000(税抜)
初めて展示会を訪れた時、
実は何も発注できなかった。
どうやって発注していいものか?
考えても答えが出てこない、、
そんな内容だった。
個性が強い上に、あり得ないほど
コレクションの数が少ないのだ。
日本人であることを自覚し、日本のいいモノづくりを
継承しようと日々努力する男女二人がおくる、
一風かわったブランドです。
才能ある小動物のような女性がデザイナー。
その才能を支えるバイタリティーあふれる男性が、
その他のすべてをこなしている。
こんな袖が付いている。
下げ札は全て、手書き。
しかも、、たぶん万年筆だ。
「みる」ってなんだ?
と思って、「なんですか?」って聞いてみる。
「商品名です。」
・・・・
意味を聞くと、「うーん、、何となく。」
意味はあるけど、説明ができそうにない理由な
場合の返答だ。
スーピマコットンのやわらかく、しなやかな
カットソー仕立てのブラウスは、
着用していただくと、個性的を超えて美しい。
袖の大胆さに対して、
ひかえめな襟ぐりが何ともいえず、素敵です。
アトリエで、デザイナー自らがパターンをひく。
斬新さとノスタルジーを同時に感じさせる
モノづくりは、高い品質とともに、
モードな世界観を醸し出す。
初めて訪れて、何も発注できずに帰ってきた日の
別れ際、、彼らはこう言った。
「何かは、感じていただけたかと思います。
お取り扱いするかしないかは別にして、
引っ掛かるところがあったらまた逢いましょう。」
引っ掛かるところだらけだった僕にとって、
発注しなかったくせに次の展示会が楽しみでしかたなかった。
虹のような出会いは大切にしなければならない。
そして、虹のような出会いが訪れるよう、
自分たちも努力しなければならない。
必然の中にある偶然のような出会い。。
虹が教えてくれること。