現在の洋服業界では、工場の職人さんによる量産が当たり前の時代。
小物と違い、洋服を手仕事で商品として売るのはとっても大変なことだと思う。
物性は大丈夫か?
適正価格か?
量産は無理にしても、ある程度の量は確保できるのか?
などなど・・・クリアしなければいけない条件が山積する。
日本国内では、素材作りからすべての工程を手仕事でこなせる環境は
たぶんないのではないか?
もちろんモノによってはそれに近いものがある。
岡山のデニムがそうだ。
すべてがそうではないかもしれないが、彼らのほとんどが
紡績から縫製、仕上げまでを同じ場所でではないが
一貫して管理しているし、量産を可能にしている。
そういうものは大切にしなければならない。
海外の高級ブランドが生産を依頼してくるのもうなづける。
数年前、とある会社が努力の末おもしろいブランドを立ち上げた。
「maison de soil」(メゾンドソイル)というブランドだ。
annabelleでも今シーズンからお取り扱いが決まった。
立ち上がりに入荷した商品を紹介したい。
ものすごい分量感のワンピース。
胸にはしっかりとしたキルトステッチがはいる。
ボタンは共布によるくるみボタン。
柄違いで、同じく分量感のあるスカート。
裾は耳使いしている。
カラーは2色。
あせた感じの茄子紺とスミクロ。
同じ素材のブラウス。
これらの商品はインドですべての工程を手仕事で完結している。
紡績、そして手紡ぎで生地を作ることから始まる。
手紡ぎの生地は10m~12mほどが1巻きとなる。
それ以上をいっぺんに織れないのだ。
ちなみに普通の生地は日本では50m、ヨーロッパでは60mが一般的。
これらの商品はその貴重な手紡ぎの生地に木版を使って
なんとハンドプリントしている。
よーく眺めているとたまに少しずれている。
僕も本物の木版は見たことがないが、そんなに大きくない。
人が両手でもってスタンプを押すように作業していくので
写真で見る限り、30cm四方くらいだ。
途方もない作業だ。
スカートに至っては剥ぎ合わせをハンドステッチで仕上げている。
ブラウスのピンタックもすごい。
きれいに伏せて、本縫いは当然ミシンだが
途中、ピンタックが広がりすぎないように手でまつってある。
いったいこのブランドの生産に何人の人の手が関わっているのだろう。
計りしれない。
しかも、ファッション業界という一定のリズムに乗って
これをやりきっている。
価格もけっして安くはないが、十分適正価格ではないだろうか。
<ワンピース>
maison de soil ¥28,000(税抜き)
<スカート>
maison de soil ¥24,000(税抜き)
<ブラウス>
maison de soil ¥19,000(税抜き)