2022年3月24日木曜日

改名とその象徴

この春から、「SP(エシュペー)」というブランドを

お取り扱いしていますが、新規のブランドではありません。

非常に稀なケースですが、10年あまり続いてきた

「STASTNY SU(シュチャストニースー)」が改名してそのようになりました。

「STASTNY SU Product」の頭文字を取ってのフランス語読み。


「え?せっかく難しいブランド名を覚えたところなのに。。」

というお客様もいらっしゃると思います。

きっと僕と妻が一番初めにそう思った人の一人です。

その反面、改名にまで至ったデザイナーの心境も大いに理解ができました。

デザイナーの赤丸さんとお話をするようになって2年ほどでしょうか。

時には1時間を超える長電話をするほどお話をしていました。

お話をすればするほど、作りたいものを意識的に抑えている側面が

あることに気が付き始めました。

トラディショナルなものや古典的な洋服が大好きだという。

本来、コレクションという場でストイックにものづくりをされてきた

デザイナーですから、その観点からトラディショナルな洋服を

見直してみることも面白いのではないかというお話もしていました。

今回、改名後初の展示会シーズンとなったわけですが、

先日「暮らしとおしゃれの編集室」でご紹介したジャケットを

はじめ、今日ご紹介するスプリングコートも、本来作りたかった

トラディショナルな要素の強い洋服に、今までのSTASTNY SUで培った

赤丸さんの感性が乗った良いコートになっているように感じました。
















SP(エシュペー)
スプリングコート ¥69,300(税込)

生地からオリジナルで手掛けたコートは、シンプルながらデザイナーの

個性をしっかりと感じさせる魅力的なスプリングコートだと思います。












ジャケットと同じくこだわったリネンコットンの高密度な

素材は、洗いざらしでシワを付けてきてもかっこいいと思わせる。












襟の大きさや袖の太さ、長さにデザイナー赤丸さんの個性が

滲み出ているような気がしてなりません。

張りと腰のあるしっかりとしたリネンコットンの素材での

このデザインは、「落ち感」「ドレープ感」「ニュアンス」な

今の時代の洋服と比べて、しっかりとフォルムが出て主張して、

かえって新鮮に映りました。












裏は背裏だけで、胴裏、袖裏はありません。

まさに今、そして春の式典などにも活躍するコートではないでしょうか。












丁寧なパイピング仕立てが目を引きます。




























ゴーシュでご紹介したワイドパンツに合わせて。












STASTNY SUといえば、「白鳥のワンピース」や美しい刺繍ファブリックが

印象的でしたが、その特徴を残しながら、本来デザイナーの根底にあった

強みにもなりうる部分を解放したのがこのようなコートや少し前に

ご紹介したジャケットではないのかと思います。












シンプルでありながら、唯一無二なものに仕上がっています。

オーバーサイジングでありながら品のある仕立てと印象は、

どのようにコーディネートするかを一拍考えさせられる趣を持っています。

コーディネートが難しいということではなく、似たようなステンカーコートとは

別な可能性を探りたくなるような期待感を持ち合わせています。












155cmで腕短めの妻には、やっぱり袖が長い。

内うちでは、こんな表現でこのコートを見ています。


「洗いたいね、、このコート。クシャって着てみたい。」

色々な可能性を探りたいコートです。