2017年3月14日火曜日

sono















「三人展」

会期:3月18日(土)~25日(土)

場所:annabelle 店内

時間:11:00~20:00 ※最終日は18:00までとなります。

* 明日3月17日(金)は準備のため18:00閉店となります。

三人のうちの一人、

豚革をメインに扱う、作家の園田明子さんは、

だいぶ以前から、アナベルのお客様でした。

かなり時間が経ってから、作家活動をされていることを知り、

ルームシューズを購入させていただいた。

それが今から2年少し前だろうか。

夫婦で履き始めたそのルームシューズが素晴らしく、

昨年の今頃、初めて企画展をお願いした。
















スリッパが¥8,000くらいで、ルームシューズは¥12,000からと、

なかなかのお値段だと思ったが、履いてみて、不思議なくらい

フカフカする履き心地に驚き、アトリエにお邪魔して、

作っている最中の中身を見せていただいた。

写真はお見せできないが、相当手が込んでいる。

そして、昨年の9月、、

まだ夏の面影が残る初秋のころ。

ずうずうしいお願いをした。

「annabelle のスタイルを軸に考えた商品を作れないか?」

それだけ聞いたら、メーカーさんへの別注のような

お話だが、僕が望んだのはそういったことではない。

お話ししたのは、

「作りたい何か明確なものに向かって作るのではなく、

思い付きと自由な発想で、思考錯誤しながら、

実験的な商品つくりをしてみたい。」

「作りたいものが思い浮かばなければ、作らなくていい。」

「思い浮かんだら、やってみる。」

生みの苦しみに合うはずのない、本当にわがままな話だ。

まずは、園田さんがよく行く、革の鞣し(なめし)工場に

くっついていった。。















食肉の副産物としての鞣し作業は、この大きな

木製の樽をぐるぐる回すことから始まるそうだ。

グウォーン、グウォーンと大きな迫力ある音をたてて、

石灰を使って、毛をきれいにそぎ落とす。





















毛を削ぎ落し、シェービングして革を整えたら、

似たような別な樽で、本鞣し作業が行われる。

彼らがこだわるのは、「天然鞣し」。

先代が天然鞣しを初めて25年。

以前はクロム鞣しも行っていたが、

現在は天然鞣しの「RUSSETY(ラセッテー)」に

こだわってなめしている。

使用するのは、ミモザの植物タンニンだ。





















工場の一階で洗い、本鞣し、染色まで、

大きな樽で豪快な作業を終えた後は、

二階で加工や乾燥の作業が行われている。

多い時は、高い窓から通り抜ける、

風の心地良い特等席に、たくさんの革が

ぶら下がるそうだ。

「革の良しあしはどこで決まるのか?」

という質問に対し、はっきりと、こうおっしゃった。

「本鞣しまでの工程で95%決まる。」

ここがうまくいかなければ、そのあとの染色や

加工の工程もそれなりにしかならないという。















男3人で切り盛りする小さな工場だが、

彼らの鞣し技術の高さは、世界のトップデザイナーにも

認められるもの。

聞いたら誰もが知るようなブランドの原材料は、

意外とこういった工場の男たちの力によって生み出される。

園田さんも彼らの革に惚れ込んだ一人で、

数年前から彼らの革をお披露目する際の製品サンプル作りは、

園田さんが行っていることも多いようだ。

アトリや工場を見て回って、僕がお願いした商品がこちら。





















サンプル第一号。

見て何となくお察しの通り、ザブザブ洗ってある。

これは、鞣し工場の社長に確認したところ、

乾燥の扱いを間違えなければ全く問題ないという

話を聞き、実験してみたもの。

もちろんこれは、日々お洗濯ができるという話とはまた違う。

革製品を作る際に、洗ったようなシワ感を出したいが、

洗っても問題ないか?ということだ。

そして、工場を見に行った際に、もう一つ目を引いたのは、、、





















伝わるだろうか。

そう、この革は傷だらけなのです。

どんな革も、鞣す前は毛があるから、

中の傷などわからない。

傷が明らかになるのは、染色の工程が終わった後だそうだ。

僕が工場を見学していた際、端っこのほうに、

積み上げられた傷のある革が目に入った。

広げて見せていただくと、その傷の感じがなんだか

素敵な抽象画のようにも見えてきた。

まさに一点もの。

通常は、革靴の内側にスウェード(バックスキン)で

使われるそうだ。決して無駄になるわけではない。

園田さんにお願いしたのは、

傷のある表側を主役にして、クシャッと洗いのかかった、

annabelle のスタイリングに似合う、

デイリーなエコバッグのような感覚で使えるレザーバッグ。

数か月試行錯誤して作っていただいた結果は、

今回の「三人展」でお披露目となるのだが、

最も最終型に近いものは、妻が昨年からお試しで

使い続けている。















sono(その)

商品名:sono1 ¥12,000(税抜)

こちらは、完成形にさらに箔を載せてみたものですので、

少しきらきらしている。





















使っていくと、傷のある部分が濃くなっていくので、

じわじわと抽象画のような柄が浮き上がってくる。

今回は、このタイプの鞄をヨコ型とタテ型でご用意いただく。


長くなりましたが、昨年から使ってきた実際の

撮影写真を一気にご覧ください。
































































































































































































































































































本当にさりげなく、いい具合にスタイリングに馴染んでくれる。

かといって特徴がないわけではない。

本職の合間をぬって、作りたい時に作る、

園田さんとアナベルの合作には、

「sono(その)」という名前を付けました。

今回は、「sono1(そのいち)」を三人展で紹介します。

「sono2(そのに)」はまた今度、いつか。