ドアを開けたとたんに広がる別世界。
ARTEPORVERAは岡山のブランドだが、
東京の中目黒の同じ場所で展示会がある。
引き寄せられるように最初に触ったその生地を、
グッと握りながら、
「何ですか!?、、この生地?」
普段から相当の数の生地を見たり触ったりしているが、
それでもなかなか感じたことのないその感触は、
「ヨーロッパの古い麻のシーツです。」
という鹿野さんのサラッとした一言で合点がいく。
現在も高価な生地でこのような素材は、あるにはあるが、
ボコボコとした整理されていない素朴さは、
やはり古布(こふ)には勝てないのではなかろうか。。
ビンテージシーツのパンツです。
ARTEPORVERA
ビンテージシーツワークパンツ
生成 ¥21,000(税抜)
たまたま、そこそこの量で、
未使用のシーツが出てきたという。
大量生産は当然できないが、
少量なら生産できる。
僕らはうれしいが、メーカーとしては、
全く儲からない、モノ好きのサガとしか言いようがない。
ひとのことは言えないが、、、。
「張り」、「弾力」、そして「優しさ」、「素朴さ」。
大量生産で忘れ去られようとしている、
天然素材の本来の姿がうかがえる。
同じものがたくさん出てくる場合、
当時のメーカーが、ホテルなどの業務用として、
大量に用意していた可能性が高い。
このマークが全てに入っていたそうだ。
すべてこの位置にくるように裁断している。
ワークパンツらしからぬ、
白蝶貝のきれいなボタンにセンスを感じます。
こちらは、シーツで作ったパンツを染めたもの。
鉄紺のようなダークネイビーは、
張りや弾力はそのままに、やや艶のある上品さ。
いったい、どう変化していくのか?
履いた人にしかわからない、未知なる世界。
鹿野さんはサラッと言っていたが、
作ろうと思って、作れるようなものではないのだ。
ある春の朝。
靴は白がいいか、黒がいいか迷った末、
春だから白にしてみる。
心も、、体までも軽くなった気分。
まさか、、
と思って部屋に戻って体重計をがさがさ取りだす。
気のせいか。。
ある春の麻。
その昔、人々の寝具として活躍していた古布が、
パンツになってちょっとした優しさと素朴さを
味あわせてくれる。
体が軽くなったのは気のせいでも、
気分が軽くなったのは、気のせいではないはずだ。