2020年5月21日木曜日

HOnnete 姉妹伴~分岐点~

annabelleをオープンした当初、その前10年間、メンズに関わっていた

後遺症からか、、「羽織」という概念がいまいち理解できませんでした。

「羽織」を探しているお客様に、カーディガンを出すと「違う」と言われる。

「ジャケット」を出したらお客様が帰ってしまう。

「羽織」について、今となっては笑えるくらい真剣に考えたものでした。

妻に相談するくらいですからかなりの重傷だったと思います。

しかし、その年の秋から西荻窪のpoefuさんと姉妹伴という特別な取り組みを

始めることになり、その中で実際のスタイリングを通して、poefu柿本さんが

ファッションの自由性をあらためて示してくれました。

なんだか、堅苦しい言い方ですが、要するに当時のわたくしには考えられない

ようなスタイリングを次々に見せてくれるので、その中で「羽織」の

曖昧さのようなものを理解することが出来ました。















<姉妹伴>

姉妹伴(しまいはん)とは、中国福建省恵安地域に古くからある
文化風習の名前です。その風習とは、仲の良い女性たちが数人の
グループを作り、寝食を共にするというもの。
その絆は実の家族と同じくらいに強く、結婚しても続くのです。


我々は、その文化風習になぞらえ、西荻窪のpoefuさんとの共同別注企画を

「姉妹伴」と呼ぶことにいたしました。とくに姉妹店であるわけでもなく、

それぞれが独立した異なるセレクトでお店を運営する中で、一緒に取り組める部分を

突き詰めて、自分たちが楽しみ、デザイナーさんへの協力を仰ぐかたちで、

2012年の秋から長く続いています。今年の春夏は、姉妹伴の定番ともいえる

「Honnete」さんとのIRISH LINENシリーズをご紹介いたします。

今日は、Honneteの代表的羽織モノの一つ、Vネックシャツカーディガン

をご紹介したいと思います。





















Honnete
V neck shirts cadygan
light blue grey ¥25,000+tax

このデザインは、たしか2015年あたりに初めて登場したかと思います。

この頃になるとずいぶんレディースに理解が深まっていたわたくしですが、

これを始めてみた時も、軽い衝撃を受けました。















写真がないので言葉で補います。

この2つのボタン、実は距離が足らないところをちょっと

無理に引っ張って留めたようなデザインなのです。

つまり、ボタンを外して、まっすぐにペタッと置くと、

ボタンとボタンホールのある前端同士が、ずいぶんと離れているのです。

なんだかボタンのない羽織みたいに。















着た状態ではありますが、こんな感じです。

このように、前端が離れたデザインなのです。





















ボタンを留めることで、そこだけキュッと引っ張ったような

独特のドレープ感が現れます。登場から5年が経った今はこれ以外にも

似たようなデザインを見ることはありますが、初めて見た時は

メンズにはない自由な発想を心から楽しいと思ったのを覚えています。















そのため、バストは大きいが袖は細身というのが特徴になっています。

身幅は余裕がないとこのようなデザインはできませんから。




























全体のシルエットは、背面のタックから流れるようなAライン。

そしてラウンドしたシャツのようなテールが、着方によっては

ロングシャツのような、羽織独特のいい曖昧さを見せてくれる。





















ロングスカートに合わせて。















インディゴやネイビーは同系色で、相性がいい。

インナーにはフレンチスリーブのブラウスを着ています。















もちろん、ワンピースなどと重ねても同じような

重ね着になるのだと思います。















着丈などのバランスを見て、新しい着方を発見してください。















こちらも全5色展開でご紹介いたします。





















dusty pink

ふんわりパンツのストーングレーと合わせて、柔らかい色彩を

意識したコーディネート。















ポケットもございます。















そして、前端がないことがこんなにも軽さを生むのかと思うデザインです。















前を閉めると少し印象もかわります。















前後差のあるシャツテールは、後ろ側が長いAラインです。

袖が細身でもたつきのないすっきりしたトップスもバランスがいい。





















gold beige

同じくふんわりパンツのインディゴに合わせて。

インナーにはmaison de soil のリネンの長袖刺繍シャツを着ています。















長袖でも、普通のシャツ袖ほどの太さでしたら重ねて難なく着ていただけます。





















今はなんだかまだ寒いですし、このくらい着てもまだ

寒く感じるかもしれませんね。















妻も大好きなこのかたち。

見ていて可哀そうになるくらい、酷使して、

ヘビーローテーションでクタクタです。

それでもへこたれない丈夫なアイリッシュリネンが素晴らしい。















夏場にはロングテールをなびかせて、自転車で走り回る妻。

今年も何色か狙っていますが、買わせるかどうかは私次第です。

お客様優先ですから。





















leaf green

ワイドデニムにロングシャツ感覚で。















無理やり引っ張ってボタンを付けた際に生まれる綺麗なドレープが

良くわかる写真です。これにより、前後差も強調されていい具合です。















前を外すとまさに羽織。















デニムに白TEEというシンプルこの上ないスタイリングに

パッと羽織って足しただけではあるのですが、

シンプルな物足りなさを、十分に補ってくれる頼りになる存在です。















クタクタになるまで着てしまうのがわかります。

お洗濯を若干さぼり気味で連投させると、前端がクシャクシャっと

なるのですが、(妻のはいつもその状態です)ちょっとまめに

お洗濯を心掛けて、干すときに前端をパンパン叩くともとに戻ります。















iron navy

きれい目にもカジュアルにも扱えるネイビーは、

その中間くらいを狙ったコーディネート。





















ちょっとメンズライクなコットンリネンのバルーンパンツに

こちらもシンプルなTシャツを。















けっこうカジュアルな印象のワンツーコーデではありますが、

ネイビーを羽織るとちょっときれい目な印象に変わるから不思議です。

もちろん、革靴やハンドバッグをスニーカーとショルダーに変えたら

またカジュアルに寄るのですが。















そういう幅広さは、他の色にはない魅力ですね。















gold beige

こんなワンピースの重ね着にも。




























このVネックシャツカーデの登場は、わたくしのスタイリングの

幅を広げるきっかけになった、分岐点のような存在のデザインでした。

今回は、ご紹介ができませんでしたが、ストレートのワイドパンツに

合わせせると、それはそれでかっこいいのです。

メンズっぽさの残るスタイリングで、黒の革靴がよく似合うのです。





















ワンピースやスカート、ワイドパンツやテーパーパンツ、

バルーンパンツやサルエルパンツ。キュロットスカートや袴ズボン。


過去に様々なコーディネートを作ってきましたが、まだやっていない

スタイリングがございます。それは、この上から何かを重ねること。

また今後の楽しみにしたいと思います。



<お知らせ>















BlueDOOR coffee















LOCAL


暮らしとおしゃれの編集室」連載の番外編として、

普段から仲良くさせていただいている5件のお店をあらためて

わたくしが取材して記事を書きました。

5月18日~22日までの5日間連続での掲載です。


3日目は眼鏡屋の「LOCAL(ローカル)」を

4日目の本日は「BlueDOOR coffee(ブルードアコーヒー)」を

ご紹介しています。ぜひぜひ、ご一読ください。

宜しくお願いいたします。