2020年4月16日木曜日

COOVAの布

デザインに個性を感じさせるということは、とても難しいこと。

しかし価格に関係なく、作り手の思い次第でそこに個性が現れると

信じながら、annabelleのバイイングを行っています。

そういう意味では、メーカーからしてみれば、歯がゆいくらいに奥手で、

慎重で、取り扱いを判断するのに時間のかかるバイヤーかもしれません。


6年前から気になり続け、昨年の秋冬にようやくお取り扱いを始めた、

COOVA(コーバ)さんは、お洋服は作らず、ストールやラグ、

その他、小さな布製品を作るメーカーさんです。

詳しくは、昨年ご紹介したブログ「研究しなくては」をご覧いただきたく。















COOVA
silk×linen stole
¥21,000+tax
ecru、emerald、violet(3色展開)

春夏は初めてのご紹介となります。

この写真でもわかるふわふわとしたランダムなシワ感は、素材の特徴を

生かし施されたCOOVAさんの仕上げの状態そのままです。















タテ糸にシルク、ヨコ糸にリネンという交織の織物で、

タテ糸、ヨコ糸が異素材であるため、洗いをかけた際に、

軽く波打つような状態が生まれます。

今回の商品は、その状態のまま納品され、我々もその状態の

ままお客様へお届けします。















COOVA瀬谷さんの布地オタクぶりは、昨年のブログでもたくさん

お伝えしておりますが、最終的にannabelleでお取り扱いを決心したのも、

その部分が大きかったと思います。















violet

洋服デザインで個性を表現することも難しいのですが、

瀬谷さんは、布地そのもので「彼女のかな?」って

感じさせる個性をしっかりと表現できるデザイナーです。















ecru

以前は、八王子の織物工場で、世界的なトップデザイナーの

要求に応えるべく、布地の設計やデザイン、提案、そして

旧式の織機をメンテナンスすることさえも自身で行っていた

瀬谷さんです。


仕上がりのイメージが自分の頭の中に浮かんだと同時に、

きっとテキスタイルの設計図も描かれているのでしょう。















モノのデザインは非常にイマジネーションが大切で、

布地の設計はとても数学的な側面を持っています。

はしっこの黄色いラインが可愛らしい。















emerald

透き通るようなemeralやecru、そして時にはハッとさせられる

強い色彩を生み出すところも、COOVAの特徴の一つでしょう。















こちらにも黄色いラインが。




























春先からお使いいただけるボリューム感です。















垂らしたり、ひと巻きしたり。
















少し肌寒い、今のような季節にはもちろんのこと、

初夏から梅雨に掛けても冷房除けや肩掛け、

梅雨寒など、活躍の場はたくさんあります。





















真っ白コーデにも。





















透明感のあるemeraldは、顔映りも良い。
















このクシャクシャっとしたナチュラルな洗い仕上げも

あって、annabelleの洋服やスタイリングと好相性です。






















COOVAさんの作る布地は、品や高級感も

ありますので、同じく生地作りからこだわった

様々なデザイナーのお洋服にも見劣りすることなく

よく馴染みます。















黒にも素敵なemerald。






















けっしてベーシックな色ではありませんが、

スタイリングに使ってみると、非常に扱いやすいのがわかります。















最もインパクトのあるviolet。

タテ糸が鮮やかなブルーのsilk。

ヨコ糸がパープルのlinen。

端には黄色いline。















こちらもしかし、使いやすい。

店頭では最も人気のある一色でした。
















COOVA、瀬谷さんの作る布地には、本当に独特な

表情があると感じます。昨年12月に個展をお願いした

ホームスパンの吉家先生がお店に見えた際に、

「これはどういったものですか?」と手に取ったのが、

COOVAさんのストールだったのが印象的で、

吉家先生の素晴らしい手織りの世界と、瀬谷さんが常に意識を

しているという、「機械織で手織りの風合いを表現したい」という

言葉が同時に頭をよぎり、なんだか嬉しかったのを覚えています。


「伝わってるな。」って感じました。

感性を届ける仕事に、本来飾られた空間や言葉は不要なのだとも思います。

でも、洋服をそれに近しい感覚で販売することで、今までにない出会いを

たくさん経験していただけたらとも思っています。

我々のような小さな洋服屋の一番大切な仕事は、作り手の個性、感性を

少し言葉を添えて紹介することなのだと思います。



商品が入荷する際、配送業者の送り状にはメーカーによって

様々な注釈が加えられています。いわゆる備考欄です。

ほとんどのメーカーは、「衣類」とか「2020春夏商品」などと

記載される中、annabelleで長くお取り扱いをしているAODRESS(アオドレス)

というブランドは、備考欄に「作品」と書いてきます。


そしてCOOVA瀬谷さんは、、「布」と書いてきます。

僕はそれが大好きです。